つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2023年6月~

ついに点滴治療も最終回を終えて、前回の手術で取り残してあったところをどうするか、となったんですが。あらためてCT検査とかで確認し、これなら取れそうだとなったのはよかったけれど、思いがけず早い時期に手術できることになって急遽入院が決まったのが6月なかば。

前回の手術はやると決まってからも病院側のシフトやなんかの都合でほぼ1カ月後だったのに、なんと今回は「来週できますよ」って!!

いや早いに越したことはないんで大歓迎です。幸い、仕事の都合やらなんやらも問題なし、すぐに手続きしてサクッと切ってもらってきましたよ。

 

てことでお待たせしましたの6月分です。

定番中の定番ともいえるコージー

『How the Murder Crumbles』 by Debra Sennefelder

シリーズ:Cookie Shop Mystery #1

カテゴリ: コージーミステリ

 

 州内全域から買い物客があつまるウィンゲートでクッキーショップを営むマロリー・モンローの目下の悩みは、どうにも使い物にならない従業員と、別の女といっしょにいるのを見つけてしまった恋人、そしてフードブロガーのベアトリスと大げんかしているところを人に見られてしまったこと。

 そのベアトリスが店の厨房で死んでいるのを見つけてしまって大ピンチ! 死体には小麦粉がぶちまけられ、そばにはマロリー愛用のめん棒が血まみれになって転がっていて……。

 

 みんな大好きクッキー屋さん、といえば〈お菓子探偵ハンナ〉シリーズが順調に翻訳されてきています。似たような話はそんなにいらない? でもどうせ読むならおいしいものが出てくるほうがよくない? クッキー屋さん以外にもベーカリーやダイナー、カフェ、ケータリング・・・主人公の職業が同じ設定のコージーミステリは山ほどあって、翻訳されているものがそのジャンル(?)でいちばん面白いシリーズかというと、かならずしもそうじゃないわけで。あとから出てきたシリーズがどれも二番煎じなんてこともないので、とにかくもっと読まれてほしいーーー!

 

ぞくぞくのスリラーですよ。

『The Quiet Tenant』 by Clemence Michallon

シリーズ:non

カテゴリ:スリラー

 

 勤勉で家族想いのエイダン・トーマスは、困っている人がいれば手を差しのべるような、地域社会のなかでも尊敬を集める人物だ。そしてまた、これまで8人の女性を誘拐し殺してきたシリアルキラーでもある。裏庭の物置小屋には5年前から9人目の犠牲者レイチェルが閉じこめられている。

 妻が死んだとき、エイダンと13歳の娘セシリアは転居せざるをえなくなった。レイチェルもいっしょに連れていくため、娘には一時的に預かることになった家族の友人として紹介した。5年も監禁されていた彼女はもはや逃げる気力もないはずと思っていたのだが、レイチェルはあきらめずに機会をうかがっていたのだ。

 地元でレストランを経営するエミリーが“好人物”エイダンに惹かれてアプローチしてきたことから、エイダンは秘密を隠し通せなくなってくる――。

 

 3人の女性たちの視点から描かれるスリラー。捜査官や被害者の視点、なにも知らずに近づいてしまう第三者の視点でシリアルキラーを語るのはよくあるけど、犯人の子供目線というのは? しかも多感な時期のローティーンの目に映る父親像が展開とともにどうなっていくのか、恐ろしいけど見てみたい。

 

 今月はこのほかにカリン・スローターの〈ウィル・トレント〉シリーズ11巻となる『After That Night』、S.A.コスビー『All the Sinners Bleed』も出ましたね。このあたりは既刊の人気ぶりからして待っていればそのうち翻訳がでそうなので、楽しみに待つことにしましょう。〈ワシントン・ポー〉シリーズでがっちり読者をつかんだM.W.クレイヴンの『Fearless』はアメリカの連邦保安局の元捜査官を主人公とする新シリーズ。ピーター・スワンソンやクリス・ウィタカーも絶賛するスリラーは翻訳されるかしら……?

 

そしてちょっと奇妙な味?のSF。

『Interviews with the Temporally Displaced』 by Shawn Wayne Langhans

シリーズ:non

カテゴリ:SF

 

 人間が瞬間的に別の場所に移動するテレポーテーションを経験する人はきわめてまれだ。そしてそんな経験は、なかなか他人には信じてもらえない。ステフォン・キングは、そんな空間のすきまを通りぬけてしまった人たちに会いに行く。自ら望んだわけでもないのにある場所から別の場所へと瞬間移動してしまった人たちをルイジアナからカリフォルニアまで訪ね歩き、彼らの話を信じようとするステフォンだが、やがていくつもの矛盾があることに気づきはじめる。彼は自分の正気を保つことができるだろうか。

 

 テクノロジーとしてのテレポーテーションをあつかうSF作品だとその原理をどう説明するかとか、そのテクノロジーが確立したことであらたに生まれる問題にどう対処するかとかに焦点がいくでしょう。超能力の一種としてそれができてしまう個人がいる、という設定もある。でもごくまれだとはいえ“自然現象”として起きてしまうテレポーテーションは? 自然現象というより怪奇現象かもしれないけど。で、それが“ホンモノ”なのかどうかを探っていった先には――これは気になるじゃありませんか。

 

さて7月の新刊もさっそくチェックしに行かなくちゃ!

 

 

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