つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2021年12月~

 こんにちは。今年もあと数日を残すばかりとなりました。

 年頭には「今年は原書中心にガンガン読むぞ!」と思っていたのに、振り返ってみればほんの15冊しか読めてない……。しかもどうにも楽しめなくてとちゅうでやめてしまったのもたしか2冊くらいあったはず。

 来年こそはもっと追いつきたいなぁ。。。

 では今月の新刊、まずはコージーミステリから。

『A Plus One for Murder』 by Laura Bradford

シリーズ:Friend for Hire Mystery #1

カテゴリ: コージー

 

 子供のころからレモネードを売ったり犬の散歩を引き受けるなど起業家精神にあふれていたエマは、あこがれのトラベルプランナーの仕事を始めてはみたものの、ネットになじんだ顧客は自分で目的地を見つけるようになり、次第にプランナーは頼られなくなってきた。そこで新たに始めたのが「レンタル友人」サービスだ。最初のうちこそ半信半疑だったが、高齢者向けダンスクラスの助手や、ジム通いのパートナー、自作を朗読する作家を観客に混じって応援するサクラ役など少しずつ依頼が増えてくるにしたがって、意外に需要が多いこともわかってきた。

 作家のブライアンは、新作の朗読会にやってくる他の人たちはみな招待客で、そのほとんどは朗読を終えるまでに彼に死んでほしいと思っているらしいというのだ。エマはそれを冗談だと受け止めていたのだが、なんとブライアンはマイクの前に立ったとたん、その場に倒れて死んでしまった。

 

 お金を払って友達になってもらう/ふりをしてもらうというのは最近登場したビジネスのように思われるかもしれませんが、イギリスなどでは身分の高い婦人の話し相手としての雇われコンパニオンというのが古くからいたんですね。ばあやとかメイドとは別に、貴婦人には年ごろの近い友人になるべく雇われた人がいたわけです。とはいえ、現代アメリカでPaid Companionといえば、なにかいっしょにやる仲間がほしいときに手軽に(なんなら後腐れなく)調達できる友人、となるのでしょう。

 Laura Bradfordはこれまでにも数多くのコージーミステリで高い評価を受けてきたベテランなので、安心して世界観に飛びこんでいけそうです。

 

 続いてスリラーを。

『The Shadow Children』 by Cheryl Bradshaw

シリーズ:Sloane & Maddie, Peril Awaits #2

カテゴリ:スリラー

 

 歴史ある港町サヴァナ。その地下世界で、14才のアンディはひたすら自由を渇望していた。彼女自身のためだけでなく、同じ目にあってきたすべてのティーンエイジャーのために。ここへ連れてこられたとき、下の部屋からは同じようにとらわれた少女の押し殺した泣き声が聞こえていた。それが途絶えたとき、彼女が入札者に大金で買われていったことを知ったアンディ。いったい誰が助けに来てくれるというのか。

 

 私立探偵スローン・モンローを主人公にしたシリーズのスピンアウトとして始まった新シリーズ2作目。長年タッグを組んできた編集者との共著だそうで、さらに大衆受けを狙ったということなのかな? 200ページ足らずと長めの中編? 短めの長編?なので、英語読書に挑戦したい人にもおすすめ。

 本家のほうのシリーズも250ページ前後の短めな作品がそろっているのでこちらも要チェック!

 

 最後はSFでしかもスリラーという「1粒で2度おいしい」「お買い得?」な作品を。

『Off Target』 by Eve Smith

カテゴリ:SFスリラー

 

 農作物にとどまらず、人間に対しても遺伝子操作があたりまえに行われるようになった近未来社会。子供を望むカップルは、完璧な赤ちゃんを迎えるためなら計り知れないリスクを覚悟しなくてはならない――。

 長いあいだ妊娠を待ち望んではいたけれど、まさか一夜の火遊びで実現するなんて……。どんなことをしてでも、それを夫に知られてはいけない。なにがあろうとこの子をきっと守り抜く、スーザンはそう決意していた。

 しかし各国政府が遺伝子に影響を与える兵器の開発競争を始めると、世界中で子供たちがときに命をも犠牲にするおそろしい症状に苦しみだした。その子供たちに共通する特徴とは……?

 

 遺伝子操作技術がますます精密になり、ピンポイントで遺伝子を書き換えることで望みどおりの体質や性格をもった子供=デザイナーベイビーが生まれることは、もはやおとぎ話でもなんでもなく現実になりつつある。遺伝性疾患を回避するためならばいいのか、容姿端麗頭脳明晰を望むのはわがままなのか。そして万が一、悪用されるとしたらどんな悲劇がありうるのか。

 前作『The Waiting Rooms』もまだ積んだままなので速く読みたい!

 

 そして今月はこちらも。ジョディ・テイラーの〈セント・メアリー歴史学研究所報告〉シリーズ最新刊『The Toast of Time』。といっても#12.5ということで130ページほどの中編です。本編のほうは来年には13作目がでる予定ですが、翻訳は続きがでるという話が聞こえてきませんね……。あいだを埋める短編中編もたくさんあるシリーズなのでいつかは、と期待して待っているのですが。

 

 さてこの一年、みなさまの読書生活はいかがでしたでしょうか。去年は外出自粛が続いて在宅時間が増えたことで読書の時間が増えた人もいれば、逆に通勤時間がなくなったり家事が増えたりで思うように読めなかった、という人もいたようですが、今年は在宅が減った人が多かったのでは?

 私自身は夫婦そろって在宅フリーランス稼業なので、コロナ以前も以後も生活サイクルにとくに変化もなく、幸い仕事量にも大きな変化がないのですが、それはそれで読みたい欲が膨らむばかりで常に「もっと時間を!」と思い続けたのが例年どおりといえば例年どおり。

 来年も新しい本と出会い、積読の中から掘り出し物を見つけつつ、読書三昧の日々を楽しみたいと思います。

 みなさまどうぞよいお年をお迎えくださいませ。

 

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