つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2023年11月~

急に冬になりましたねw

日ごろ家族以外とはめったに口をきく機会もない私ですが、今年は4年ぶりの忘年会に呼んでもらえて、いまから楽しみにしています。ついに翻訳家デビューした今年こそ営業しないでどうする!という意気込みでまいります。

 

年中行事が大好きなコージーミステリはクリスマステーマの作品があふれてますが、あえての非クリスマス本を。

 

 

『Serving Up Spite』 by Devon Delaney

シリーズ:Cook-Off Mystery #8

カテゴリ:コージーミステリ

 

 賞金獲得を目指して数々の料理コンテストに参加してきたシェリー・オリヴェリは今日も次なるコンテストにむけて絶品レシピを考案中。その最中に親友パティが取り乱して電話してきた。できたばかりのボーイフレンドが行方不明になり、もしかしたら殺されたかもしれないというのだ。警察が捜査をはじめると真っ先に容疑者とされたのもパティだ。

 とはいえいまだ死体も見つからず、それもシェリーには怪しく思える。エプロンをいったんわきにおいて調べ始めたシェリーは、その男が深刻な金銭問題を抱えていたこと、さらには結婚していることを隠してパティとつきあっていたことをつきとめる。もしや身辺のごたごたから逃れるための偽装なのでは……?

 

 食品会社などが主催する料理コンテストは一年中どこかでやっている印象があるけど、日本にかぎっては「賞金」をだすところって少なくないですか? アメリカでの事情に詳しいわけではないけれど、少なくともこのシリーズの世界線ではコンテストの賞金稼ぎで暮らしていけるのでしょうか。

 シリーズ8作目というとそろそろ飽きる読者も出てきそう? さらに続けていけるかの勝負どころ、期待できます!

 

このほか、〈貧乏お嬢様〉シリーズ17作目のリース・ボーエン『The Proof of the Pudding』、〈コクと深みの名推理〉シリーズ20作目のクレオ・コイル『Bulletproof Barista』も出ました。この2シリーズは翻訳も続いていてうれしいかぎりです。

 

人はどうしてこうもシリアルキラーに惹きつけられるのか……

 

 

『The Surgeon』 by Karl Hill

シリーズ:non

カテゴリ:心理スリラー

 

 弁護士として働いていたジョナサン・スタークは5年前、大量殺人事件に巻き込まれて同僚たちを失い、自身も8週間におよぶ昏睡状態に陥った。現在はべつの法律事務所で司法修習生として働いていて、同じく弁護士のジェニーという恋人もできた。

 ジョナサンの仕事の大半は事務所の地下室で古いファイルの目録を作ることだ。そこである女性の死亡証明書を見つけたことから悪夢が始まった。それはやがてひとつの記憶を掘り起こす。ジョナサンは「外科医」とあだ名されるシリアルキラーを追跡するマグイガン主任警部と協力しあうことになる。

 事件ファイルからあらたな手がかりが見つかり、なんらかの意図を隠した目撃者があらわれ、追走劇のはてに死体に行き当たったりするうちに、遠い昔の恐ろしいトラウマにまつわる暗い真実が浮かび上がってくる……。

 

 著者ご本人も弁護士だという兼業作家。本作は単発らしいが、これより先に〈Adam Black〉シリーズ5作があって、こちらも面白そう。

 

 ほかには〈警部ヴィスティング〉シリーズ18作目(?)になるのかな、ヨルン・リーエル・ホルスト『Snow Fall』、〈リンカーン・ライム〉シリーズ16作目のジェフリー・ディーヴァー『The Watchmaker's Hand』も出ました。ヴィスティングはコールドケース4部作が終わって、その後というか前後の作品も順次翻訳されるなんてことはないのかしら? リンカーン・ライムはもう翻訳されることを疑っていませんが。

 

 

そしていまや話題の中心はAI!

 

 

『The Doomsday Code』 by Sara Yager

シリーズ:non

カテゴリ:AIスリラー

 

 上海の人工知能研究所が深刻な事態に陥った。機械学習の分野で大きな進展があったわずか数日後、〈サイバージェン・インダストリーズ〉のチーフAIサイエンティストが死亡し、肝心のプロトタイプが消え失せてしまったのだ。調査により、“ハッキング不可能”なはずのシステムに侵入されていたことがわかった。

 人間の知性を模したアルゴリズムは急速に成長し、時間を追うごとに狡猾になり予測不能になっていく。その能力はあっという間に人間を追い越していくだろう。いったい誰が、何のために盗み出したのか?

 かつて国家安全保障局ハッカーだったエイドリアンこそ、暴走するAIを止められる唯一の人間かもしれない。これまでも世界の安全のために多大な犠牲を払ってきた。世の中には強力なテクノロジーを思いのままにするためには手段を選ばない連中がいることを、彼は知っている。ずるがしこく、権力を持ち、考えの読めない、そんな相手を出し抜くという不可能を可能にしなければならない。

 

 ChatGPTとか生成AIが登場して早一年、「こんなのができた」という大喜利で楽しんでいたのもつかの間、フェイクなど早急に対処すべき問題点も次々でてきましたね。どんなテクノロジーも使い方しだいで善にも悪にもなるのだから、法整備は速やかにお願いしたいところ。

 最新テクノロジーをいち早く手なづけて私利私欲に走るヤカラはいつの時代にもいるけれど、本作のハッカーはどんな頭脳戦を見せてくれるのか、楽しみです。

 

 ほかには「弊機」でおなじみ〈マーダーボット〉シリーズ長編『System Collapse』、『パワー』がすばらしかったナオミ・オルダーマンの『The Future』も気になります。

 

 

昨シーズンは療養中でまったく着物を着られなかったので、今シーズンはおでかけ予定ができるたびに着物で行けないかしら、と考えます。先月は2回、今月も1,2回は出番がありそうでうれしみ。

 

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