つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2022年12月~

 毎年思いますが、やっぱり一年は短いですね。読みたい本の半分も読めないうちに過ぎ去ってしまいます。それでも毎月目を皿のようにして新刊を漁ってしまうわけですが。

 

ではさっそくコージーから。

『A Streetcar Named Murder』 by T.G. Herren

シリーズ:New Orleans Mystery #1

カテゴリ: コージーミステリ

 

 ヴァレリー・クーパーのもとに届けられた手紙はなんとも謎めいていた。亡夫のおじにあたる人の遺産を受け取ることになったのだが、その一部が一家の家業であるアンティークショップ〈ニューオーリンズ・ファイン・アンティーク〉だった。アンティークのことなどなにも知らないが、一から勉強するつもりでパートナーとなる決意をしたヴァレリー

 いっぽう、亡き夫とともに苦労してリフォームしてきた家を売らせようとする不動産業者コレットをかわすのにも手こずっていた。家を手放すつもりなどさらさらないのだ。

 ところが友人に誘われていったマルディ・グラのパーティで、コレットの刺殺体を発見してしまう。彼女の胸に刺さっていたのはヴァレリーの店にあった短剣だったため、ヴァレリー第一容疑者となってしまう。

 

 『欲望という名の電車』をもじったタイトルがいかにもコージーらしくていいですね。マルディ・グラというお祭りの雰囲気ってよく知らないのだけど、ニューオーリンズと聞くだけで陽気なリズムが聞こえてきそう。

 

 今月はこのほかにM.C.ビートンのアガサ・レーズンシリーズ#33、『Devil’s Delight』も発売。ビートンさんはいったいどれだけ書き溜めてあったのでしょう?? 編集作業に時間がかかるとはいえ、亡くなってからもまだまだ新刊がでるなんて! 翻訳はたしか最新が17巻、どうか最後まで日本語で読めますように!

 

つづいてサスペンスミステリはこちらを。

 

『Crime Of My Love: Part 1, 2』 by Meyrav Einstein

カテゴリ:サスペンス

 

 アレックス・フリードマンは30才の弁護士。10才のとき、車に仕掛けられた爆発物によって目のまえで両親を失って以来、犯罪に対して尋常ではない怒りを燃やしてきた。だがその正義感は時としてあだとなり、仕事の継続を難しくもしていた。

 ニューヨーク市警の刑事イーサン・ロックは独特な捜査手法と事件解決力でその名をとどろかせていた。とある犯罪組織のトップが殺された事件で真っ先に捜査線上に浮かんだのがアレックスだった。しかしじっさいに彼女にあってみて、すぐに犯人どころか彼女の身も危険にさらされていることに気づく。

 

 Part 2と同時発売というのが面白いと思いました。それほど関連性は強くなく、パート2はパート1の約1年後から始まるようです。それでもアレックスとイーサンのコンビものではあるらしく。作者の情報がほとんど見つかってないのですが、Goodreadsにはヘブライ語(?)で書かれたロマンティックサスペンス風の作品が乗っていて、今作が英語で書いたデビュー作ということなのかも。

 

 

 今月はほかにジェフリー・ディーヴァーのBroken Dollシリーズ #1~4、The Pain Hunter, Dodge, Execution Day, Sixty-One Secondsが出ています。連作短編のようで、それぞれ80ページ程度なのとUnlimitedになっているので、洋書ビギナーさんの多読用にもぴったりじゃないでしょうか。

 

最後は大好物の近未来SFを。

『Beat in Her Blood』 by J.K. Ullrich

シリーズ:non

カテゴリ:SF

 

 ペトラ・アルセノーは健康を害して海軍の任務を解かれていたが、闇市場で取引される違法なバイオニックデバイスを瀕死の患者に届ける仕事を任されていた。

 とある危険な戦闘技術の痕跡のある船医の死体が見つかり、不調をおして捜査を始めたペトラはパラメディックのジョナサンの協力を得て、バイオテック巨大企業が牛耳る裏の世界に潜入していく。バイオハッカーに恨みを抱くジョナサンにもペトラに負けない過去の事情があり、ふたりはたがいを十分に信頼しきれないまま調査を進めていく。

 

 若干ミリタリーっぽさを感じるのをべつにすれば、宇宙開発とか異星間戦争とかよりもこういう近未来でテクノロジーが暴走する系のSFが好きです。本作も舞台はちょっと未来のボルチモア。法や倫理をかいくぐって儲けようとする企業悪も定番と言えば定番ですが、主人公ふたりがロマンチックな関係にならなそうなのもいいかな、と期待してます。

 

 さて今年の私は思いがけない波乱の多い一年となりました。まだまだ病気治療はつづいていますが、いまのところはさほど生活に変化なく過ごせているので、来年もペース配分を考えつつ新刊チェックにいそしみたいと思っています。

 そしてうまくいったら来年中に、うれしいお知らせもできるはず。それまで地道にがんばっていかねば。

 

 それではみなさまもどうぞよいお年をお迎えください。

 

 

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