8月が終わればもう年末、と言ったのはプチ鹿島さんでしたっけ? 年末かどうかはともかく、1年の2/3は終わってしまいましたねぇ。私は積読の山をほんの少し低くすることができましたが、みなさまはいかがでしょうか。
まずはあのコリーン・フーバーやハーラン・コーベンが推薦文を寄せているこちら。
『Gone Tonight』 by Sarah Pekkanen
シリーズ:non
カテゴリ:サスペンス
キャサリンは母親のことならよく知っているつもりだった。物静かで働き者の母は娘の自分のために生きているようなものだ。これまでずっと、ふたりだけで生きてきたのだから。
ところが、成長したキャサリンがいよいよ独り立ちしようとすると、母ルースは全力でそれを阻止しようとする。口ごたえひとつしたことがなく、母親の過去についてけっして詮索などしたことのない娘だが、離れて暮らすことになれば、こつこつと積み上げてきたふたりだけの世界にひびが入ってしまう。
ルースの過去を知るものはひとりもいない。親子が数年ごとに引っ越しをくりかえす理由も、いつでも予告なく引っ越せるようつねに準備している理由も。
すでに数多くの著作があるベテラン作家ながら既訳があるのは『完璧すぎる結婚』(二見文庫ザ・ミステリ・コレクション、風早柊佐訳 2021)一作。ようやく発見された? 評判はまずまずよさそうだし、こちらも邦訳されるかも。楽しみです。
既訳のある作家さんたちによる今月発売の新刊も盛りだくさんですよ!
『彼と彼女の衝撃の瞬間』『彼は彼女の顔が見えない』のアリス・フィーニー。
ジェームズ・パターソン、長らく邦訳が出てないみたいですが、お元気のようです。
『鹿狩りの季節』のエリン・フラナガン。
みなさんご存じ、カリン・スローター〈ウィル・トレント〉最新刊!
アン・クリーヴスの新刊は『哀惜』の続編。
さてお次は、あの大人気シリーズを思い起こさせるコージー。
『A Fete Worse than Death』 by Tia Brown
シリーズ:Lucy Williams #2
カテゴリ:コージーミステリ
夫をがんで亡くしたあと娘のグレイシーを育てるルーシーは今でこそ在宅で働くシングルマザーだが、前職はじつはスパイだ。どんな銃器でも車両でもあやつれるスキルがあるのに、そのどれも母親業の役には立たない。
イケメンふたりに言い寄られることも想定してなかったけど、それ以上に想定外なことに、近所の遊び場で死体を発見してしまった。もしかして以前の仕事にもどれるチャンス?
そんななか、娘の学校で催されるお祭りでケーキ屋台をすることに。はたして事件を解決し、ケーキを売り切ることができるのか?
元スパイが主人公のコージーミステリと言えばジャナ・デリオンの〈ワニの町へ来たスパイ〉、通称ワニ町シリーズが好評ですね。あちらはおばあちゃんパワーが炸裂するのが痛快ポイントですが、はたして子育てママはスパイのスキルをどう活かす?
最新の第6巻が出たばかりの〈ワニ町〉シリーズはこちらから。
https://www.amazon.co.jp/dp/B09CL8K25L?binding=kindle_edition&searchxofy=true&qid=1693556566&sr=1-1
そしてローラ・チャイルズ〈お茶と探偵〉の新刊も。
エミリー・セントジョン・マンデル『ステーション・イレブン』やローラ・デイヴ『彼が残した最後の言葉』のファンに、とありますが……
『The Great Tansition』 by Nick Fuller Googins
シリーズ:non
カテゴリ:SF
世界を救うのに一役買った両親のもとに生まれたエミは、何かというと「気候危機の後に生まれてよかったね」と言われることにうんざりしていた。しかし気候危機の元凶とされる十数人が衆人環視の中で暗殺されると、容疑者となった母クリスティーナが失踪した。エミは父ラーチとともにグリーンランドの首都ヌークを発ち、廃墟から高潮に対する前線拠点へと復興した人もまばらなニューヨークに向かう。
三十年まえ、ラーチは海面上昇と暴風雨に翻弄されるニューヨークにボランティアとしておもむいた。そのころクリスティーナは荒野と化した西部で山火事と戦っていた。彼らは新しい社会を目指した〈グレート・トランジション〉と呼ばれるムーブメントにかかわっていくなかで出会ったのだ。
気候変動による災害が激化してきているいま、世界中で対策が叫ばれているのにもかかわらず、人々の行動にはなかなか結び付きませんね。それどころか炭素排出量が増えるようなことばかり聞こえてきます。地球の気候には国境などないのに、全世界が一丸となるのはいつになることやら。いろんな可能性を、人々が我が事として考えるきっかけとして示してくれるSF小説も増えてきましたが。。。
やっかいな病気が見つかってもうすぐ1年、手術と一通りの標準治療を終えて経過観察に入りました。病人とは思えないほど元気です。50を過ぎてとっくに人生後半になっているとはいえ、そんな実感もなく過ごしていたのが、にわかに終わりを意識するようになった1年でした。そんななかでも翻訳者としてデビューにこぎつけたからにはまだまだ訳していきたいと欲も出てきたところ。忙しくなってきたわよ~!