つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2021年11月~

 今月もぎりぎりですが間に合いました。

 

 ぱっと見、コージーっぽくない表紙ですが。

『Dosed to Death』 by P.D. Workman

シリーズ:Kenzie Kirsch Medical Thriller #3

カテゴリ: コージー寄りのスリラー?

 

 裕福な家庭に育ったケンジー・カーシュは、将来のことなど思い悩まずとも親がレールを敷いてくれたはずだが、臓器移植がうまくいかずに妹を亡くした経験から医学を志した。検視官となって忙しい毎日をおくる彼女だったが、ようやく休暇を取ることにした。まさか、仕事をしているときよりも数多くの死体を相手にすることになるとは思いもせずに。

いっしょに来た私立探偵でパートナーのザカリーも最初は偶然だとして済まそうとしていたが、雪に降りこめられた密室のなかでさらに被害者が出てしまっては、じっとしているわけにはいかない。

 

 P.D.ワークマンはこのシリーズに先行して私立探偵ザカリー・ゴールドマンを主役にしたシリーズを出しています。その登場人物のひとり、検視官のケンジーを中心にして、強い女性が主役を務めるスピンアウト作品として書き始めたのがこちらのシリーズ。ザカリーのほうと比べるとややコージー寄りな雰囲気らしいです。

 

 さて、エミリー・ブライトウェルの〈家政婦は名探偵〉シリーズはついに40巻『Mrs. Jeffries and the Midwinter Murders』が出ました。ジャネット・イヴァノヴィッチの〈ステファニー・プラム〉シリーズは28巻『Game On: Tempting Twenty-Eight』。どちらも翻訳が止まってしまって久しいのがさみしいかぎり。シリーズ物は続きを気にしている読者がきっといるのになぁ。

 

 

 そしてこれはドメスティック・スリラー、というのかな?

『Don’t Speak』 by A.J. Park

シリーズ:ノンシリーズ

カテゴリ:スリラー

 

 父から虐待されてきたアメリー・デイヴィス警部は男なんて信じるものか、と思ってきた。だがエドワードに出会ってからは考えをやわらげ、夫となってからは彼に全幅の信頼を寄せていた。ところがある日、知らない番号からかかってきた電話でその信頼が大きく揺さぶられる。

 仕事として殺人事件の捜査にあたるいっぽうで、夫の一挙手一投足を気にしはじめるとさらに疑わしく思えてくる。そしてついに、夫こそは捜査対象として追っている相手ではないかと考えるように……。

 

 恐ろしい事件が起きたときに、もしや自分の身内が犯人かもしれない、となったらどれほどコワいだろう? しかも自分がその事件の担当者だったら? というシチュエーションはこれまでにもあったでしょうけど、それぞれ抱えてる事情は違うわけで、こんどはどんな背景があるのか気になってやっぱり読みたくなりますね。パターンは似てても2匹目のドジョウとは言い切れないので、それなりに楽しめるといいな。

 

 最後は遺伝子操作がテーマのディストピア

『S.I.B.s: The Society of Intellectual Beings』 by Iris Bolling

カテゴリ:SF

 

 ネットワーク業界の大物ウェイド・タイソンの生みの親は30年前、複数人を殺害したかどで有罪判決を受けていた。彼らがわずか1日のうちに相次いで亡くなると、その状況を怪しんだウェイドは独自に調査を始める。すると、30年前に両親が犯したとされる事件に関しておかしな点がぞろぞろと出てきた。彼らは極端に知能の高い人間によるコミュニティを作るための、何世代にもわたる実験にかかわっていたのだ。しかも、そのような人間たちはすでにこの社会にまぎれこんでいるという。

「高知性者」が支配する社会は理想的と言えるのか? 「高知性者」を生み出した者たちの思惑とは? 

 

 DNAというものが解明され、改変もできることがわかってくると、どうしても「完璧なカスタマイズ」を求めたくなるのが人間、なんですかねぇ。農作物や家畜ではもはや当たりまえになるいっぽうで未知の危険性について警戒する声も無視できないわけで。デザイナーベイビーも技術的には可能性が見えているというのに、倫理的な線引きはかんたんには決められず……。

 とはいえ、本作ではそうやって「作られた」子供たちが養子としてあちこちの家庭に散らばるわけですが、日本のように養子縁組のハードルが高い社会では、陰謀を企てるやつらもまた違った方法を考えないとね……?

 

ケン・リュウの〈蒲公英王朝記〉シリーズ3巻『The Veiled Throne』も今月発売となりました。1、2巻もたいそうなボリュームでしたが、今回もさらに長尺になってますな……。『三体』の劉慈欣とならんでSF色の濃い作家として言及されがちな気がしますが、こんなファンタジーも書いているの、意外に知られていない……?

 

 

 今年はAmebaOwnedのほうの更新がほとんどできなくて放置状態ですが、残り1か月、作戦を立て直して再スタート!を目指そうかな。

 

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