つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2022年4月~

 世間の皆さまは大型連休をお楽しみでしょうか。私、今年は仕事こそかかえていないものの、家人は通常営業のため普段通りの主婦業は続く・・・なので普段通りのペースで粛々と読み進めております。

 

まずはさくっとお手軽に楽しめそうなコージーから。

『Die Cut』 by Nelle Heran

シリーズ:Crafty Sleuth #1

カテゴリ: コージーミステリ

 

 親友のPJが何と言おうと、スクラップブッキングという手芸がヤバいことになんてなるはずがない、と信じてた。手芸仲間が殺されるまでは。

 ところがさらに死体が見つかるにいたって、警察はこともあろうにPJを疑ってる。そりゃ、PJはなんのためらいもなくコンピュータウィルスをやっつけるし、犯罪ドキュメンタリーやB級ホラー映画の大ファンだ。でも現実に人を殺すような人間じゃないことはあたしがよーく知ってる。だからPJを窮地から救うのはあたししかいない。たとえ手に入る武器と呼べそうなものがグルーガンとマスキングテープしかなくたって。

 

 機械工学に強いアラフォーのぽっちゃり系アフリカン・アメリカン女性タッシュがオタク要素強め?の相棒PJといっしょに殺人事件を解決! 内容もだけど200ページ足らずと分量も軽やか! コージーはこうでなくちゃ。

 

正統系ミステリ、今月はどちらも捨てがたい2作が残りました。

『See Them Die』 by Michael Fowler

シリーズ:Dr. Hamlet Mottrell Investigations #1

カテゴリ:スリラー

 

 犯罪心理学ハムレット・モトレル博士の人生は、3年前の事件を境に粉々にされてしまった。侵入者が妊娠中の妻を胎児もろとも殺害し、ハムレットの手首を切って心中に見せかけようとしたのだ。裁判で不起訴になったにもかかわらず世間の目は冷たく、ハムレットは孤立を深めていった。

 新たな殺人事件の様相が自身のケースに酷似していることを知った彼は、ただひとり最初から彼の証言を信じてくれたアリクス・レインボウ警部に連絡し、真犯人を追う。だがさらに被害者が出ると、レインボウ警部までがハムレットに疑いの目を向けはじめる。

 

 作者Michael Fowlerは元警察官。2012年のデビューからハンター・カー警部を主役にしたシリーズを書いてきて、今度は犯罪心理学者の視点で新シリーズを書き始めた。過去作も今作もなかなかの人気のようだけど、まだ翻訳されてない? これはもしや狙い目なの??

 

『Last Seen Alive』 by Jane Bettany

シリーズ:Detective Isabel Blood #3

カテゴリ:ポリスプロシージャ

 

 職場のパーティのためにベビーシッターに子供を預けたアナ・マシソンが、お迎えの時間になっても現れなかった。時間には厳密な彼女らしくない、とすぐに警察が呼ばれた。防犯カメラの映像には帰宅しようとコートを手にする彼女の姿があったにもかかわらず、駐車場を出るところは映っていなかった。

 アナは職場でなにか大きな改革をしようとしていたので、反対派が強硬手段に出たのではないか、といううわさもあった。パーティに参加していた同僚たちの中に犯人がいるのか?

 

 イザベル・ブラッド警視とその捜査チームの活躍を描く警察モノの第3作。華々しいヒーロー像というよりチームワークが魅力らしいシリーズ。40才以上の女性作家が同世代の主人公を描く作品を対象としたハーパーコリンズ主催の賞を獲得して長編デビュー。それまでは短編やノンフィクションを書いてきた作家さん。創作も教えていて「売れる小説の書き方」的なHow To本も出している。

 

 そしてもうひとつ気になったのが、電子書籍限定のMysterious Profilesという23作の短編シリーズ。おなじみシリーズの主人公たちのバイオグラフィ。ジェフリー・ディーヴァーリンカーン・ライム、ロバート・クレイスのコール&パイク、リー・チャイルドのジャック・リーチャー、マイクル・コナリーのハリー・ボッシュなどなど、4~6月にかけて続々と発売されます。邦訳のあるものだけでも集めて1冊にする、みたいな企画もイケるのでは?

www.amazon.co.jp

 

SFからはポストコロナを考える1冊。

『Email from the Future: Notes from 2084』 by Michael Rogers

カテゴリ:SF

 

 ロボット修理工のアルダスは、孫のルカのために21世紀の歴史を書き綴っている。2010年生まれのアルダスは、温暖化との戦いと地球の再生、人工知能の隆盛やオートメーションの普及を目の当たりにしてきた。同世代の中には幼少期に感染したCOVIDの後遺症に苦しんでいる人もいる。アルダスとて先が長いわけではない。彼はただの一市民にすぎないが、だからこそ語れること、語るべきことがある。

 

 この手の作品としては珍しい(?)、希望とユーモアにあふれた心温まるユートピア小説。これからの50年、気候変動への対応から教育、政治、ゲームにいたるまで、私たちが「正しく」行動することができたらどんな未来がありうるのか。未来学者として数々の大企業でコンサルタントも務める著者が描く「明るい未来」に期待してみたい。

 

 ジョディ・テイラーの〈セント・メアリー歴史学研究所報告〉シリーズ#13、A Catalogue of Catastropheも今月発売。私的には追いかけたいシリーズなんですけど、翻訳の続きはまだでしょうか・・・?

 

 

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