つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2023年3月~

やれやれ、半年がかりのお仕事がどうにか〆切に間に合いまして(それでも当初予定より半月延ばしてもらったけど)、無事に終われたことに心底ホッとしているところです。

これでようやく読書に割ける時間がもっととれるようになる! というわけで3月発売の新刊ですよ~!

今月はなんだか既訳のある作家さんたちの新刊も大漁です。こちらもお見逃しなく!

 

What Have We Done (English Edition)

What Have We Done (English Edition)

Amazon

『What Have We Done』 by Alex Finlay

シリーズ:non

カテゴリ:スリラー

 

 〈セイヴィア・ハウス〉で育った子供たちは“ふつうの子供時代”というものを知らない。ここを巣立った4人はいま、それぞれの道を歩んでいる。施設を出てから25年、彼らが再会することになった理由はたった1つ――誰かが彼らを殺そうとしているから。

 そうならないためには、過去を振りかえって悪夢のような子供時代と向き合わなければならない。

 

 親族のもとで暮らすことができずに養護施設で育つ子供たちにとって、仲間と何かしらのきずなができることは心強いことではあるのかもしれないけれど、そのきずながどのように育まれるのかは、それもまた運しだい。単純にうまが合うから仲良くなって……とはいかないだろうけど、本作はもしもそれが暗い秘密を共有することだったら――というストーリーらしいです。謳い文句によると、ピーター・スワンソンやリサ・ジュエル、カリン・スローターあたりのファンにお勧めとのことなので、期待しています。

 

 今月はこのほかにジョイス・キャロル・オーツ『48 Clues into the Disappearance of My Sister』、ハーラン・コーベン『I Will Find You』、ジェイムズ・パタースン『Countdown』、ピーター・スワンソン『The Kind Worth Saving』なども発売されました。個人的にはこのところハーラン・コーベンにハズレなし、の状態なので、これも楽しみ。そしてスワンソンの新作はあの『そしてミランダを殺す』の続編! ヘンリー・キンボールとリリー・キントナーのシリーズということになってるようです。邦訳が待ちきれません!

 

 

『Vera Wong’s Unsolicited Advice for Murderers』 by Jesse Sutanto

シリーズ:non

カテゴリ: コージーミステリ

 

 60歳の自称〈お茶の専門家〉、ヴェラ・ウォンがなによりも楽しみにしているのは、薫り高いウーロン茶を片手に息子の社交生活を“調査”すること。それなのに、ある朝、自宅1階のティーショップに男性の死体が転がっているのを発見! 警察なんかより自分のほうがよっぽどうまく真実を見つけだせると自信満々なヴェラ。その根拠は――だって、悪事を嗅ぎつけるのにひまをもてあました中国系母ちゃんほどの適任者なんていないでしょうが!

 

 著者はジャカルタシンガポールを行き来しながら育ち、オックスフォードを卒業した才媛だとか。これまでにもロマンティックコメディなどでヒット作を出しているようなので、ユーモアたっぷりのコージーにも期待できそう。

 

 今月はローラ・チャイルズの〈お茶と探偵〉シリーズ25巻『Lemon Curd Killer』、リタ・メイ・ブラウンに〈トラ猫ミセス・マーフィ〉シリーズ31巻『Hiss & Tell』なんかも出ましたよ。

 

『The New One』 by Evie Green

シリーズ:non

カテゴリ:SF

 

 タムシンとエドにとって人生は楽しいものではなかった。長時間労働なのに給料は安く、家に帰れば気分屋で反抗的な娘スカーレットが待っている。ところがスカーレットが事故にあって昏睡状態になり、手詰まりかと思ったところへ臨床試験の話が持ち上がった。娘に治験を受けさせ、家具家電完備のアパートメントと限度額なしでお金を使える口座を与えられるかわりに、スイスに移住して娘のコピー人間と暮らすことに同意しなければならない。

 失うものとて何もない夫婦は一も二もなく受け入れることにした。AIを搭載したソフィはまるで娘が戻ってきたように感じさせてくれた――しかも、悪いところが全部なくなっている。何ごとにも積極的でいつも機嫌がよく、両親といっしょにいたがってくれるなんて。

 やがてスカーレットが健康を回復すると、一家はこの治験を実施する団体の思いがけない側面を目の当たりにすることになる……。

 

 亡くした家族の代わりに人工知能を持ったアンドロイドと暮らす話というとキャス・ハンター『iレイチェル』というのがありましたね。あれはなかなか切ない終わり方だった記憶がありますが、こちらはスカーレットが元気になって帰ってくるわけで、しかも両親にとってはコピーのほうが好ましい娘だったというあたり、波乱の予感がしますねぇ。カズオ・イシグロ『クララとお日さま』でもそんな感じのエピソードがあったような……。

 

 そしてエドワード・アシュトン『ミッキー7』の続編でこちらも映像化が決まっているらしい『Antimatter Blues』も今月発売でした。

 

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