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積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

【気になる新刊】2017年7月(その1)

 

Lions and Tigers and Murder, Oh My (Devereaux's Dime Store Mystery)

Lions and Tigers and Murder, Oh My (Devereaux's Dime Store Mystery)

 

 

『Lions and Tigers and Murder, Oh My』 by Denise Swanson

 

シリーズ名:Devereaux’s Dime Store Mystery #6

カテゴリ:ダイムストア、ギフトバスケット、二股愛、

 

私立探偵として新たなスタートを切ることになった恋人ジェイクの事務所として、自分の店の2階を貸すことになったデヴは、さっそく事件に巻き込まれていく。

町のはずれで動物公園を開園しようとしていた慈善家のエリオット・ウィンストンだが、町の住民ばかりか妻のガブリエラにまで反対されている。盛大に夫婦喧嘩をしたあとで行方不明になった妻が死体となって見つかると、当然疑われたのは夫のエリオット。しかしデヴにはなっとくできないことが……。

 

 投資顧問会社の仕事をとある事情から辞め、祖母の世話をするために故郷にもどり小さな雑貨店を買い取ったデヴロー(デヴ)を主人公とするシリーズ。

 恋人のジェイクは連邦法執行官代理という肩書で登場したものの、FBIとか麻薬取締とか、あるいは税務調査関係などなのかは明かされなかった。本作ではその国家公務員を退職したらしく、私立探偵業を始めるようだ。1作目からしばらくは幼馴染で医者のノアとも十代の恋愛ごっこが再燃したりしていたが、本作ではジェイクのほうに傾いてるのかな?

 父は冤罪で長らく服役し、母はそんな父に愛想をつかして家出してしまったのがデヴが16歳のころ。4、5作目あたりでその両親が戻ってきたりして一波乱あったもよう。デヴの家族関係が彼女の内面や交際にどう影響してくるのか、ますます目が離せません。

 

期待度:★★★★★

 

Sowed to Death (Farmer's Daughter Mystery)

Sowed to Death (Farmer's Daughter Mystery)

 

 

『Sowed to Death』 by Peg Cochran

 

シリーズ名:Farmer’s Daughter Mystery #2

カテゴリ:農場、子育て、ブログ、

 

子育てしながら日々農場経営に奮闘するシェルビー・マクドナルドは、「ファーマーズ・ドーター」というブログで食と農業に関する情報を発信している人気ブロガー。毎年恒例のカントリーフェアにはジャムなど出品する予定だが、祭りの呼び物はなんといってもトラクター競技などの派手なものだ。

 

もう一つの目玉がジョーズ・オブ・ライフという装置を使った救出作業のデモンストレーションだ。シェルビーの隣人で消防団ボランティアのジェイクが実演することになっていたが、仕込まれていたのはダミーではなく本物の人間、それもジェイクと仲の悪かったジークだったため、ジェイクが疑われてしまう。

 

 コージーミステリでは比較的少数派の、既婚で子持ちの女性が主人公。なので、主人公の恋模様にハラハラドキドキ、というのは期待できないものの、子供たちがティーンエイジャーとあって思春期の子供の扱いにくさや彼らの進路なども今後の話題として登場するかも? 

 そしてシェルビーが人気ブロガーというのもいかにもイマドキらしく、各章の冒頭にはそのブログの記事の体裁でレシピやガーデニングのコツなどが紹介されるのも興味深いスタイル。

 

期待度:★★★★★

 

 

 

Addressed to Kill (A Postmistress Mystery)

Addressed to Kill (A Postmistress Mystery)

 

 

『Addressed to Kill』 by Jean Flowers

 

シリーズ名:Postmistress Mystery #3

カテゴリ:郵便局

 

バレンタインデーが近づき、町の住人たちはシニアセンターでのディナー&ダンスの夕べに期待を膨らませている。地元のバンドのメンバーたちに、いつもの練習場所が使えなくなったと泣きつかれたキャシー・ミラーは、営業時間外ならと条件付きで自分が局長を務める郵便局を使わせることに同意した。

ところが、バンドメンバーの一人が自宅で撃ち殺されているのが見つかると、キャシーはこのところ続いている侵入事件との関連があるのでは、と疑って調査を始める。

 

 ボストンの郵便局で管理職まで務めたが、傷心を癒すために故郷の郵便局に移ってきたキャシー。アメリカの郵便局は、田舎のほうでは局長ひとりでやってるようなところもあるようで、かなり融通が利くみたいですね。〈トラ猫ミセス・マーフィ〉シリーズでも郵便局長が主人公で動物たちを連れてご出勤してましたっけ。

 メールの普及で手紙・はがきの利用がめっきり少なくなっている事情は日本もアメリカも変わらないとはいえ、小さな田舎町では郵便局は人が行き交う場所のひとつ。外部との窓口でもある郵便局が舞台になっているこのシリーズ、どんな人が騒ぎを巻き起こすのかが見どころか。

 

期待度:★★★

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