ついに梅雨も明け、夏本番ですね! 個人的にはまとまった夏休みというものと縁遠くなって久しい私ですが、たまには食事や入浴の時間を気にせず読書に没頭して昼夜逆転、なんて生活をしてみたいものです。
まずはサスペンスミステリから。
『What’s Left Unsaid』 by Emily Bleeker
シリーズ:non
カテゴリ: サスペンス
寝たきりになった祖母の世話をするためにシカゴからミシシッピ州セナトビアに帰ってきたジャーナリストのハンナは、地元の小さな新聞社に職を得た。前職より刺激は少ない仕事だが、ある日、アーカイブの整理をしていて見つけた1930年代の記事に興味を持つ。まるごとボツになった一連の記事は、長らく隠し通されてきた謎に光をあてるものだった。
イヴリンという若き女性記者が書いた記事には、彼女が14才の時に巻き込まれた襲撃事件のことにも触れていた。読み込むほどに謎が深まるばかり。ハンナはそこに書かれていないことのほうに惹かれ、イヴリンの過去を掘り下げていく。100年近くもまえの女性についての隠された秘密を明るみに出すことが、ハンナ自身の人生とも共鳴していく。
この作家さんの作品はどれもいちおう広い意味のミステリでありサスペンスと言えるんですが、家族をめぐるヒューマンドラマとしても味わい深いものがあるようです。ほぼ年1作のペースで書いているのに今まで気づいていなかったのが不覚。ちょっとさかのぼって読んでみたい作家さんが見つかりました。
今月はカリン・スローターのノンシリーズ新刊『False Witness』も発売。もはや翻訳されることを疑う必要もないほどはずれがないスローター作品、まちどおしいですね。
続いて王道コージーを。
『The Rocky Road to Ruin』 by Meri Allen
シリーズ:Ice Cream Shop Mystery #1
カテゴリ:コージー
CIAの司書であり、トラベル・フード・ブロガーでもあるライリーは、親友の母の葬儀のために故郷の町に帰ってきた。古い友人たちと再会したり父の営む書店ですごす時間は思った以上に楽しく、とりわけ親友キャロラインのアイスクリームショップの居心地のよさは最高だった。そうしていると、イタリアでの任務でしくじったことも振り返ることもできた。
キャロラインと兄のマイクは受け継いだアイスクリームショップと農場をどうするかでもめていた。母の葬儀の翌朝、納屋で死んでいるマイクが発見され、事態は思わぬ方向に……。
新人作家さんのデビュー作。主人公ライリーがCIAの司書という肩書を持っているのが注目ポイントなのかな? FBIもCIAも局員専用の図書館があって、そこには当然ながら司書もいるんですね。新聞や出版物からの情報収集を担っているそうなので、その調査能力が素人探偵としてどんなふうに味付けされてるのかが気になるところ。
最後はSF、災厄後のディストピア。
『Notes from the Burning Age』 by Claire North
シリーズ:non
カテゴリ:ディストピアSF
聖職者として古典籍を管理するヴェンにとって、古の書物を読み解いて〈火炎時代〉の異端思想から有用なものをふるい分けることが使命だった。世の中に大災厄をもたらした悪行と気候変動の時代の遺物は、あのような災厄を二度と繰り返さないためにも厳しく管理統制する必要があった。
革新派の〈ブラザーフッド〉が、盗み出された文書の解読をヴェンにせまったことから、彼の運命は荒波に放り出される。友情か信仰か――いまの世界を救うため、ヴェンは岐路に立たされる。
クレア・ノースは『ハリー・オーガスト、15回目の人生』『接触』『ホープは突然現れる』などが翻訳されている。読書メーターなどでこれらの訳書は評判がいいみたいなので、引き続き日本語で読めるといいなぁ。ほかにキャサリン・ウエブ名義でも『ミラードリームス』などのYA作品が翻訳されています。
さて、オリンピックに興味のある人はここを見に来るかというと甚だ疑問ではありますが、我が家の目のまえのバス通りが自転車ロードレースのコースとなってまして、通行規制のお知らせなんかがポストに入ってたりします。
にしても、ほんとにやるんですかね? できるの? やっていいと思ってるの? いろんな方面から、この後のオリンピックのあり方が見直されるといいなぁ。