つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2021年6月~

  こんにちは。今月はまとまった仕事終わりからしばらく腑抜け状態でなかなか腰があがらず・・・お待たせしてしまいました。

 ではさっそく、まずはお気楽なかんじのコージーからどうぞ。

 

『Piece of Cake』 by Clementine Moore

シリーズ:Ginger Burnet #3

カテゴリ: コージー

 

 ロンドンでのキャリアをあきらめて故郷リトル・チズウィックに帰ってきたジンジャー・バーネットは地元のチズウィック・パーク・アカデミーでパン・菓子職人の仕事についた。

 2年目に入ったばかりの始業式の日、式典を取材に来ていたリポーターが死体となって発見される。ジンジャーの焼いたお菓子が死因と疑われては、じっとしてなんかいられない!

 

 約2か月ごとに次々と続刊が発売されるところを見ると、あんまり入り組んだプロットじゃないのはお約束のうち? 主人公とその気の置けない仲間たちとのやりとりや、昔からそりの合わない知人とのいがみ合い(?)とか、田舎町の小さなコミュニティのいいところも悪いところも「あるある~」とツッコミながら読むのが正解かも。重厚長大なミステリのあいまのおやつみたいな感じで軽くふんわり楽しむためにあるようなシリーズ。7巻まで予定されています。

 

 

 『The Family Tree』 by Steph Mullin, Nicole Mabry

シリーズ:non

カテゴリ:スリラー

 

 遺伝子検査の結果は意外なものだった。自分が養子だったことを知ったリズ・カタラノは、まさか自分が悪名高いシリアルキラーと血縁関係があるなどとは夢にも思っていなかった。

 40年にわたって何人もの女性を誘拐してきた“トライステート・キラー”に関する手がかりは皆無に等しかった。FBIの捜査に巻き込まれたリズはシリアルキラーを特定してきっぱりと決着をつけることができるのか?

 

 遺伝子検査で親戚を探す、という設定はすでにいくつも見かけていて、ハーラン・コーベン『ランナウェイ』でも巧妙に使われていましたね。あちらでは家系図をたどるのはけっこうポピュラーな趣味のようです。最近は日本でもそうしたサービスが登場していますが、なんかあまりいい方向では使われないというか、悪用されそうな気がするのは取り越し苦労でしょうか。だって、この作品みたいに悪人と血縁だなんてわかってしまったら、ねぇ。

 

 さてお次は ハードなミステリを。

 

『Runner』 by Tracy Clark

シリーズ:Cass Raines #4

カテゴリ:クライムサスペンス

 

 冬のシカゴで15歳の少女ラモーナが行方不明になった。半年前に養女として引き取られたときにはまだ人を信用できなかったのが、ようやく打ち解けてきたと思われた矢先の出来事だった。

 生みの親リーサはラモーナを手放す原因となった依存症をどうにか克服し、それまでの埋め合わせのためにも娘を探し出してほしいと、元殺人課刑事の私立探偵キャス・レインズに調査を依頼した。もちろん、養親のほうもラモーナに帰ってきてほしいと願っている。

 表面的な捜査に終始する警察をよそに、街場の情報に強いキャスが探り当てた事情からは、ラモーナが身を隠したがる理由となったある秘密が見えてきた。

 

 アフリカ系の女性探偵を主人公にした作品ももっと読んでみたいし読まれてほしい。このシリーズの1巻目Broken Placesは、Library Journal誌の2018年ベストクライムノベル賞や米図書館協会の2019年度のリーディングリストなどにノミネートされたほか、アンソニー賞やシェイマス賞にも名を連ねたほどの話題作。

 

 先日ハヤカワから『天使と嘘』が、二見文庫からは『誠実な嘘』が発売となったマイケル・ロボサムの新作When You Are Mineも、今月出たところ。こちらもきっと翻訳されるはず、と信じて楽しみに待ちましょう。

 

今月はSFFのジャンルからのご紹介はお休み。先月末の段階で候補に考えていた作品の発売が延期になってしまったらしく……また来月にご期待くださいませ。

 

 

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