つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2020年9月~

 7月の長雨のせいで今年の夏は短かった・・・はずですが、その分というわけではないにしろ、とにかく暑い夏でした。ようやく涼しい日がやってきても、あちこちお出かけするにはまだためらいもあるというか、むしろ気温が下がってきてからのほうがコロナウィルスには居心地がいいという話もあって、まだまだステイホームは続きそう。それならやっぱり、本を読みたいですよね~。

 英語のままで読み通すのはキビシイ! メンドクサイ! というみなさま、ぜひぜひ「この本を日本語で読みたい!」とアピールしましょう。 #翻訳されてほしい本のリスト でツイートしてくださいね。

 

 

  

『Gored of the Rings』 by  Elise Sax

シリーズ:Matchmaker Marriage #1

カテゴリ: コージー

 

 スペンサーと結婚して以来、マッチメーカー(仲人)として仕事を始めて3年、いくつものカップルのご縁を結んできたグラディだが、このところ殺人事件にはまるでご縁がなく、正直なところちょっと退屈してきている。ところが、祖母のゼルダがこの家業を拡大してウェディングプランナーも始めることになり、グラディがその役割を任せられたとたん……。

 最初にやってきたカップルが希望したのは、さながらオプション全部のせというもので、斧投げゲームやトラクターのパレードなどもりだくさん。そんなにぎやかなパーティで、参加者のひとりが死んだとき、まずは不慮の事故だと思われた。しかしグラディの敏感なアンテナはしっかり反応し、これは殺人だと告げていた。

 

 コージーミステリとしてスタートしたこのシリーズ、じつは先行するMatchmaker Mysteryというシリーズの、いわばシーズン2という位置づけ。前シリーズはもっとロマンス寄りだったようです。

 主人公グラディも、その祖母ゼルダも、じつは不思議な能力をもつ人たち。パラノーマル風味も入っているわけです。彼女たちが「これは」と思うカップルを成立させつつ、殺人事件も解決してきました。だから、このところ事件がなくて退屈していたのですね。

 各紙誌のレビューによると、〈ステファニー・プラム〉シリーズ〈ワニの町へ来たスパイ〉シリーズのファンならきっとお気に召すはず、だそうですよ。

 

 さらに、順調に翻訳が出ている〈お菓子探偵ハンナ〉シリーズも#26が発売になります。こちらもどうか最後まで(?)訳されますように!

 

 

 

 『The Baby Group』 by  Caroline Corcoran

カテゴリ:サスペンス

 

 愛娘の成長をつづったブログが人気の新米ママ、スカーレットの人生は申し分のないものだった。あの日、元恋人との性行為を撮った動画が同僚や知人たちにバラまかれるまでは。できたばかりのママ友グループの3人はそんな動画は見ていないと言ってくれたけれど……。

 過去を掘りおこしてスカーレットを陥れようとしているのは誰なのか。彼女が巧妙に隠したはずの秘密が暴かれたとき、夫婦親子関係は、友人関係は、そして仕事はどうなってしまうのか。

 

 ブログやインスタグラムで幸せをアピールするインフルエンサー、ママ友グループ、そしてリベンジポルノ……といかにもイマドキな要素を盛り込んだ、すぐそこにあってもおかしくない「危機」を描いた本作は、ポップカルチャーやライフスタイルに関する記事を中心に書いてきたライター出身の作者にとって2作目のフィクション。

 設定はリアーン・モリアーティ『ささやかで大きな嘘』創元推理文庫 和邇桃子訳 2016)に似ているところも多いので、こちらが面白かった人にはおすすめです。

 

 

 

 

Road Out of Winter: a novel (English Edition)

Road Out of Winter: a novel (English Edition)

 

 『Road Out of Winter』 by  Alison Stine

カテゴリ:SF

 

 ウィロディンの生まれ育った土地は、妄想と貧困にあえいでいた。違法な大麻栽培で生計をたてていた彼女の家族にとって、生きることはつねに闘いだった。だが、母親が彼女をおいて出ていったあと、春が来ないまま2年の月日が過ぎると、もはやこの土地を捨てるしかなくなった。

 ほかの非難者たちとともにアパラチア山脈のふもとの村を旅立ったウィロディンは、旅の途中でカルト集団につけねらわれるようになる。彼女の持つ特別な能力――植物を成長させる力――は、終わらない冬を生きるために誰もが欲しがるものだった。

 

 気候変動がもたらすディストピア、という設定はもはやフィクションの中だけにはとどまりそうにないのが現実ですが、温暖化とは逆に、冬が延々とつづくとどうなるか、というのが本書のテーマ。そしてそんな環境になっても強くまっすぐに生き抜こうとする女性を描く作品はいくつ読んでも励まされます。これもそういう1冊になってくれるでしょうか。

 

 

 先月から『note』始めました。気になっただけでなく実際に読んでみて気に入った、「翻訳されてほしい本たち」を紹介しています。こちらもぜひご覧ください!

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