つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2020年3月~

 

My Fair Latte (A Cafe Cinema Mystery Book 1) (English Edition)
 

 

 

『My Fair Latte』 by  Vickie Fee

シリーズ:Café Cinema Mystery #1

カテゴリ: コージー

 

 バリスタの仕事を辞めたヘイリー・グリアは、子供のころに1回会ったきりの大伯父が遺した映画館を受けつぐことになり、アーカンソー州ユートピアスプリングスのリゾートタウンにやってきた。だが遺されたのは映画館だけではなく、ゴミが詰めこまれたアパートメントと家族の秘密、逃げ隠れする三毛猫、そして敵対者。

 ヘイリーは映画館を改装して、古典映画作品も見られるコーヒー&ワインバーとしてリニューアルオープンした。開店イベントは大成功と思われたが、幕間に客のひとりが死んでいるのが見つかって・・・・・。

 

 はい、きましたww! 会った記憶も定かでない親戚から遺産相続でハコを手に入れカフェバーに改装! オープニングイベントで殺人事件発生! そしてもちろん、恋の予感! これでもかというくらいにお約束を詰めこんだコージーミステリの王道シリーズ開幕でございます。

 もうほんとにね、コージーほど開き直ってるというか、これをマンネリというなら読まなくてけっこう、ひたすらワンパターンに浸りたい読者しか相手にしてないジャンルって、他にあるのだろうか? このスタンスで次々と作品が出て、(たぶん)それなりに売れる、ってアメリカってすごいな。じつにうらやましい。

 

 

 

 

『Closing Time』 by  Brenda Chapman

シリーズ:Stonechild and Rouleau Mystery #7

カテゴリ:警察小説

 

 カーラ・ストーンチャイルド刑事は、後見人として面倒を見ている姪っ子ドーンを連れて休暇に出かけた。ところが、滞在先のロッジホテルのレストランで働く10代の少女が帰宅途中に行方不明になり、やがて死体が発見される。カーラは捜査に協力することになり、以前の勤務地でいっしょに働いていたクラークとチームを組むことになった。だがカーラの過去が蒸しかえされ、いまの生活を脅かし始める。

 

 カナダの作家によるカナダ先住民族出身の女性刑事を主人公にしたシリーズ。カーラは不幸な生い立ちを背負っていて、それを克服しつつ現在の人間関係を築いてきたけれど、いろいろ思うところあって、いまの仕事を続けるかどうか悩んでいるらしい。そんな彼女が日常からちょっと距離をおいてみた結果……というのが7作目となる本作。どうやらこのシリーズはこれで締めくくりということらしいので、まとめてビンジリーディングもよさそう。

 最近は非英語圏のミステリが続々と邦訳されていて、どれも評価は高いようだけれど、意外に英語圏ながらカナダやオーストラリア、ニュージーランドを舞台にした作品って少ない(訳されてない)気がするので、もっと発掘してみたいな。

 

 

 

 

『The Demons of Wall Street』 by  Laurence Raphael Brothers

シリーズ:Nora Simeon Investigations #1

カテゴリ:ファンタジー

 

 ノラ・シメオンは悪霊がキライだ。それでも、金融魔法を取り締まる謎めいた〈委員会〉のために働く調査員としては、バケモノどもと戦わなければならない。ついこのあいだは、投資銀行のアナリストとしてたちの悪い悪霊を追跡したあげく、ようやく魔法のいましめを逃れてきたばかりだ。

 とある金融企業から逃亡した悪霊の追跡調査中に出会ったエアは、人間にしては愛想がよすぎ、人間のふりをした悪霊にしては親切すぎるという謎の男。しかしふたりは手を組み、金融業界の深奥にひそむ汚職の実態に迫っていく。陰謀うずまく業界の複雑な人間関係の解明にいどみつつ、エアの正体も気になるノラ。まずは彼に対する気持ちのざわつきをなんとかしなくちゃ!

 

 悪霊を奴隷としてこき使う金融業界とか面白すぎるのでは?ww 一般人には存在が隠されている悪霊をこっちの世界に連れてきて管理している〈委員会〉や、その秘密が世間にバレないように右往左往する、ってなんだか『ファンタスティックビースト』みたいな雰囲気が思い浮かびました。

 作者のローレンス・ラファエル・ブラザースは米大手IT企業にいたこともある技術者だそうで、サイバーでパラノーマルな世界観が楽しみです。

 

 

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