つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2019年2月~

 

 

『Welcome to Spicetown』 by Sheri Richey

シリーズ名:Spicetown Mystery #1

カテゴリ: コージー

 

 オハイオ州の片隅にある小さな町スパイスタウン。シルバー世代が挙動不審になったり、コピー商品を売る店が開店したり、新年を祝う花火の装飾が消えうせたり・・・おかしなことが立て続けに起きているとなれば、町長も警察も安穏としているわけにはいかない、よね?

 

 紙での出版がなくキンドルのみ、格安、というあたりからも自費出版と思われます。内容説明も乏しく、先行して読んだ人の感想も見当たらないので判断が難しいところですが、私的にはこの表紙のイラストがかわいらしくていいな、と思いました。171ページは長めの中編というところ。正直、この分量にミステリ要素とロマンス要素を詰めこんだらほとんどあらすじじゃないかという気もしますが、〈Eden Hall〉というロマンスのシリーズをすでに5作も書いている作家さんだし、お手並み拝見といきましょう。

 

 

Remember Me: An absolutely gripping psychological thriller with a brilliant twist (English Edition)

Remember Me: An absolutely gripping psychological thriller with a brilliant twist (English Edition)

 

 

『Remember Me』 by D. E. White

シリーズ名:

カテゴリ: スリラー

 

 15年前、ウェールズ地方の小さな村からエレン・スミスが姿を消し、それ以来誰も彼女を見た者はいなかった。事件当夜、現場近くにいた8人はその後それぞれの道を進み、それぞれの秘密を抱えていた。

 エレンの親友エイヴァ・コールは故郷を離れて警官になった。だが元夫がガンで死の淵にあると知らされ、ずっと会っていなかった息子に会うため、事件のあった村に帰ってみると、皆が口をそろえたように尋ねる:「本当はエレンに何があったの?」

 関係者たちが秘密にしていること、覚えていること、忘れてしまったこと・・・・真実を掘りおこすことはできるのか。

 

 ミステリーのシリーズ作品を書いてきたデイジー・ホワイトが別名義で書いた心理スリラーデビュー作。過去にあった事件の当事者のひとりが大人になって真相にせまる、といえばC.J.チューダー『白墨人形』を思いだしますが、こちらはゲラで読んだレビューアーの意見は分かれ気味? 星3つが一番多いという評価はやや辛口か。カバーデザインの印象としては、『白墨』が恐怖・虚無感があったのにくらべて、こちらはどこか悲哀・寂莫を感じるというか、感傷的というか。

 

 

 

The Priory of the Orange Tree (English Edition)

The Priory of the Orange Tree (English Edition)

 

 

『The Priory of the Orange Tree』 by Samantha Shannon

シリーズ名:

カテゴリ:ファンタジー

 

 千年にわたってイニスを収めてきたベレスネット家だが、現女王サブラン九世にはまだ世継ぎの娘がいない。王国を守るためには何としても娘が欲しい女王だが、そんな彼女に暗殺者が忍び寄る。

 宮廷内ではのけ者にされながらも女官の職を得たエアード・デュリャンは、じつは魔法使いの秘密結社に忠誠を誓っている。女王サブランの身の回りに油断なく目を光らせ、禁断の魔法で女王を護っている。

 暗黒の海の向こうでは、ドラゴンライダーになるべく修行を重ねてきたタネィが、この先の人生を引き裂かれるような選択を迫られる。

 

 

 女系の王家に警護の女官、竜使いも女性。マーガレット・アトウッドにも刺激を受けたという著者が挑むエピックファンタジーなら、女性たちの快進撃が期待できるに違いないのでは? 800ページを超す重量級ながら挑戦しがいがありそう。

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