つぎはコレ読みたい ~積ん読は積ん徳なり~

積ん読は積ん徳。駆け出し翻訳者が毎月「コレ読みたい!」新刊本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2019年10月~

 

Don't Forget Me (Levi Kant Book 1) (English Edition)

Don't Forget Me (Levi Kant Book 1) (English Edition)

 

 

『Don’t Forget Me』 by  B.C. Schiller  trans by Annette Charpentier

シリーズ名:Levi Kant #1

カテゴリ: スリラー

 

 精神科医オリヴィア・ホフマンの夫と娘が失踪してから5年が過ぎた。ウィーン郊外の採石場で十代の少女リサ・マンツの死体が見つかったのも、同じく5年前だった。あれ以来、夫と娘が失踪した日になると、オリヴィアのもとに差出人不明のハガキが届くようになった。誰がなぜ、遺憾のメッセージを送ってくるのか。

 オリヴィアは担当する患者のひとりから、生きているリサを目撃したと聞かされたことをきっかけに、当時捜査に当たったレイヴィ・カーント刑事とともに調査を始める。リサがまだ生きているなんてことがあるだろうか? オリヴィアの愛する家族の失踪と何か関係があるのか?

 だが動き出したとたん、ふたりは命を狙われるようになる。

 

 

*ドイツ語からの翻訳。

 B.C. Schillerはオーストリアの作家で、カップルで書くときのペンネーム。自主レーベル出版のスリラー作家としてはそこそこ人気はあるようだけど、英訳にこぎつけた経緯までは不明。英語版もアマゾンのセルフパブリッシングの一部門からの発売。

 あらすじだけで見るとざっくり言って身代わり殺人的なストーリーかな? シリーズとしてはカーント刑事が主人公のはずなので、警察ものとして今後どのような題材がでてくるかは楽しみ。

 

  

Advertisement for Murder (A St. Ives Book Club Mystery 1) (English Edition)

Advertisement for Murder (A St. Ives Book Club Mystery 1) (English Edition)

 

 

『Advertisement for Murder』 by  Nadine Doolittle

シリーズ名: St. Ives Book Club #1

カテゴリ: ミステリー

 

 1975年、廃墟となった聖アイヴス修道院の裏手で、当時17才のジェニー・ブレイクの絞殺体が見つかった。犯人はまだ捕まっていない。

 それから44年――。ローカル新聞に載ったミステリー読書会のお知らせを見てエリオット・マークスの自宅に集まった7人のなかに、エイヴリー・ホームズもいた。ところが、本の中ではなく現実の殺人事件を解決するのはどうか、とエリオットが提案し、手始めにジェニー・ブレイクを殺した犯人を見つけようと言いだした。

 怪しいのはジェニーの元ボーイフレンドで今はアルコール依存でホームレスになっているジェシーか? それとも事件当時ジェニーと交際していた政治家ダンカンか? それともダンカンに捨てられたカレンはどうなのか。ジェニーの死を内心で喜んでいた図書館員アイダは無関係と言えるのか。エリオットとジェニーの関係は?

 小説を書くかたわら、のんびりした田舎暮らしを楽しむつもりでセント・アイヴスにやってきたエイヴリーにしてみれば、過去の殺人事件をほじくり返すなんて危険でしかないのだが……。

 

 過去に起きた未解決事件を掘りおこす、というとまるで『時効警察』ですが(笑)、エイヴリーとエリオット以外の読書会メンバーも元海軍将校から新米リポーターまでいろいろな経歴の人を集めたようで、肩の凝らない雰囲気が楽しめそう。

 

 

 

The Princess Beard: The Tales of Pell (The Tales of Pell Series Book 3) (English Edition)

The Princess Beard: The Tales of Pell (The Tales of Pell Series Book 3) (English Edition)

 

 

『The Princess Beard』 by  Kevin Hearne, Delilah Dawson

シリーズ名:Tales of Pell #3

カテゴリ:ファンタジー

 

 棘だらけのバラに囲まれた魔法の塔で、その姫は眠っていた。目覚めたときに待っていたのは王子様――ではなく、伸び放題に伸びた髪と爪だった。でもべつにがっかりしたわけじゃない。ていうか、同意もなしにキスしてくるようなキモ男よりずっといい。

 切りおとした髪を使って塔から逃げだした姫は、伸び放題のまま切らなかった髭を変装に活かし、海賊船に乗りこんだ。真実の愛――ではなく、ほんとうの自分を見つけるために。

 

 おとぎ話をとことんおちょくった、おふざけ満載のシリーズ第3作。〈ペル〉という世界を舞台に、おとぎ話の「あるある」を笑いのめすわけだが、有名どころの童話や民話をひととおり知っていないと、もしかして面白さは半分かも? 神話や伝説、宗教的背景などなど、教養が試されそうでちょっとコワい。でもだからこそのぞいてみたい。

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ ミステリー・推理へ
にほんブログ村