Nothing Important Happened Today (English Edition)
- 作者: Will Carver
- 出版社/メーカー: ORENDA BOOKS
- 発売日: 2019/09/14
- メディア: Kindle版
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『Nothing Important Happened Today』 by Will Carver
カテゴリ: スリラー
ある夜、チェルシー橋に集まった9人。いっせいに橋から飛び降りた彼らはこれまで面識がなかったが、皆その日の朝に遺書を受け取っていた。書かれていたのはたったの一行、「今日、大事なことは何も起こらなかった」
それは《ピープル・オブ・チョイス》のメンバーに選ばれた証だった。メンバーたちは誰も、自分以外に誰がそのカルト集団にいるのか知らない。
ソーシャルメディアにあらわれたそのカルトのページは、4年間もなんの動きもなかったのに、突如として数千人がフォローしはじめた。警察は必死にメンバー同士のつながりを見つけようとするが、そもそもリーダーすら存在していないようなのだ。
自殺を考えている人たちがネットを通じて知り合い、一緒に自殺を図るという事件は日本でもすでに何度かニュースになった。自分と同じ対象に興味をもつ人が身の回りにいない、という状況はネットの登場で劇的に変化し、仲間を見つけやすくなったのは良いことばかりではなかったわけだ。カルトの不気味さ、得体の知れなさも急速に忘れられつつある今こそ読むべき作品なのかもしれない。
ゲラ版をふくめてGoodreadsでレビューを書いた11人全員が星5つ、というのもなんだか強烈。
Mrs. Jeffries and the Alms of the Angel (A Victorian Mystery Book 38) (English Edition)
- 作者: Emily Brightwell
- 出版社/メーカー: Berkley
- 発売日: 2019/09/24
- メディア: Kindle版
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『Mrs. Jeffries and the Alms of the Angel』 by Emily Brightwell
シリーズ名: Victorian Mystery #38
カテゴリ: コージー
マーガレット・スターリングは誰から見ても「殺されたりするはずがない」人だった。慈善団体や教会での活動にも熱心で、助けを求める人には惜しみなく手を差し伸べてきた彼女の死は、町の人々には大きな衝撃だった。
時はおりしもクリスマス、ジェフリーズ夫人とウィザースプーン警部補は正義を行うことができるのか。
コージーブックスから出ていた〈家政婦は名探偵〉シリーズ、なんと38作目! 翻訳は4冊で止まってしまっているようだけど、日本の読者は同じメンツ、同じ設定に飽きるのが早い? まあ、たしかにこのシリーズはジェフリーズ夫人を支える探偵団の人数が多くて、毎度おなじみ感が好きな人じゃないとマンネリと感じてしまうのかも。このウィザースプーン警部補ののほほんとしたお坊ちゃん感が好きなんだけどなぁ。
The Ten Thousand Doors of January (English Edition)
- 作者: Alix E. Harrow
- 出版社/メーカー: Redhook
- 発売日: 2019/09/10
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『The Ten Thousand Doors of January』 by Alix E. Harrow
カテゴリ:ファンタジー
数々の風変わりな宝物がひしめく広大な屋敷に住む、裕福なロック氏の被後見人たるジャニュアリー・スカラーは彼女自身もまたたぐいまれなる存在であった。とはいえ、その他の宝物とは違い、彼女はしっかりと手入れされ、ほとんど無視されていて、なんとも場違いだと感じている。
あるとき、彼女は不思議な本を見つける。どこかしら異世界の匂いがして、秘密の扉や冒険と危険に満ちあふれた物語がつづられている。どれも信じがたいような真実が語られているが、いつしかそれは彼女自身の身の上と重なっていく。
ショーニン・マグワイア『不思議の国の少女たち』に近い感じのYA。環境としては恵まれていないわけではないのに、自分の居場所がない、ここではない、と感じている少女が本との出会いから新しい世界を見いだしていくストーリーは、焼き直しと言われようともどんどん世に出していってほしい。その時代にその年齢を生きている若年世代に届いてほしいから。