つぎはコレ読みたい ~コージーミステリ三昧~

果てしない積読山脈をじりじりと登攀中。未訳作品中心に、自分が読みたい本、みんなに読んでほしい本を紹介しています。

気になる新刊 ~2018年10月~

 

Murder by the Book (Bookstore Mystery)

Murder by the Book (Bookstore Mystery)

 

 

『Murder by the Book』 by Lauren Elliott

シリーズ名:Beyond the Page Bookstore Mystery #1

カテゴリ:コージーミステリー

 

 ボストン公共図書館の職員だったアディ・グレイボーンは、稀覯本の取り扱いやそこに秘められた過去の謎を解き明かすことにやりがいを感じていたものの、婚約者が殺されても犯人が捕まらず、父親まで自動車事故で亡くすという悲しい記憶をふり払うかのように都会を後にした。

 大西洋に面した港を見おろす丘の上に建つ屋敷を相続することになって、先祖が開拓した小さな海辺の町に引っ越してきたアディは、遺産の中に数えきれないほどの初版本や稀覯本があることを知り、書店を始めることにした。

 ところが開店早々、お隣のベーカリーとは仲たがいするわ、車にひかれそうになるわ、本は盗まれるわ……。おまけに近所でティーショップを営む友人セレナが殺人を疑われて逮捕されたとなれば、警察にまかせてなんて置けない!

 

 

 田舎町の小さな書店、しかもすべて遺産相続のおかげで初期投資もゼロという超甘やかし設定、とくればもう、コージーミステリーのデフォルトと言っていいくらいにベタな設定ですが、ここまでやるとむしろ潔いというか、ある意味ふっきれているかも。

 目新しさとか、ミステリーとしての出来がどうとかをほっぽりだして(笑)、田舎町特有の濃密な人間関係のドロドロや、風光明媚な港町ののんびりした暮らしぶりなんかを楽しめばよい、というシリーズがまたひとつ増えたと思いましょう。本作でデビューしたばかりですが、2作目も来年5月に、3作目は来年10月に発売予定が決まっているようです。

 

 

 

Shell Game: A V.I. Warshawski Novel (V.I. Warshawski Novels)

Shell Game: A V.I. Warshawski Novel (V.I. Warshawski Novels)

 

 

『Shell Game』 by Sara Paretsky

シリーズ名:V.I. Warshawski #19

カテゴリ:ミステリー

 

 古い友人の甥が殺人容疑で捕まり、彼を救いだすべくシカゴに帰ってきたヴィク。美術品の盗難が絡んだ事件には国際的な犯罪組織もかかわっているらしい。捜査をすすめるうち、ヴィクはロシアマフィアやISの支援者にまで突け狙われたり、証券取引詐欺や盗品売買にかかわる闇組織とわたりあうはめになったりする。

 だからといってヴィクの捜査手法が変わるわけではない。睡眠時間を削り、血を流すことになろうとも、正義を追求する姿はいつも通りのヴィクだ。

 

 

 みなさまご存じ、サラ・パレツキーのヴィク・ウォーショースキーもなんと19作目! まだ続いてたんですね(^ ^; 

 シリーズが始まったころ、作者、主人公、主な読者、翻訳者が全部女性(female)だということで「4F」なんてまとめ方をされたのはこのシリーズだけではなく、かなりの勢いもあったのですが、いつの間にか騒がれなくなってしまいました。やたらと女性を強調しすぎたのではないかと勘繰りたくもなります。とくに、読者に女性が多かったことをはやし立てたのはもったいなかったような。これだけ長く続いているのは男性読者もしっかりとついてきているからでしょう。

 ガラスの天井がまだまだ低かった80年代、肩ひじ張って男に負けまいと頑張る(頑張りすぎる)ヴィクが痛々しくて、いつの間にか読まなくなってしまったけれど、今のヴィクはどうしてるのかな、と旧友を訪ねるようにまた読んでみたくなりました。

 

 

 

 

The Black Khan: Book Two of the Khorasan Archives

The Black Khan: Book Two of the Khorasan Archives

 

 

 

『The Black Khan』 by Ausma Zehanat Khan

シリーズ名:The Khorasan Archives #2

カテゴリ:ファンタジー

 

 「片目の説教師」と呼ばれる謎の男が率いる“タリスマン”は、闇の力を使って強力な家父長制をしき、知識を抑圧し、女性たちを隷属させていた。これに反抗する女性たち“ハイラの同志”の先頭に立って戦うアリアンとシンニアの武器となるのは“クレイム”と呼ばれる言葉の魔法だ。クレイムの源であり、タリスマンが必死に消し去ろうとする『血痕の書』を探しだすため、ふたりはタリスマンの本拠地へと潜入したが失敗した。

 “ハイラの同志”は散り散りになってしまったが、アリアンとシンニアはあきらめていなかった。『血痕の書』のありかをつきとめたふたりは“黒き首長”ルークが君臨する亜種フォールへの潜入を試みる。

 

 

 作者のKhanは国際人権法の博士号を持ち、アメリカやカナダの大学で教壇に立っていたそう。その作風は、ヒューゴー賞を3連覇したN・K・ジェミシンと、ドラマも好評な『ゲーム・オブ・スローンズ』のジョージ・R・R・マーティンの中間とも評されているとか。

 KattakとGettyという二人の探偵を主人公にしたミステリーシリーズも人気で、テレビドラマ化の話もでています。〈Muslim Girl〉誌の元編集長として、ムスリムの視点から宗教対立をテーマに取り入れているというのが興味深いところ。ただし日本で受け入れられるかどうかは微妙でしょうか。

 4部作を予定している本シリーズがファンタジーでのデビューとなります。

 

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