つぎはコレ読みたい ~コージーミステリ三昧~

果てしない積読山脈をじりじりと登攀中。さらに山を高くするべく(?)新刊の中から自分が読みたい本、みんなに読んでほしい本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2019年8月~

 

And Then They Were Doomed: A Little Library Mystery (English Edition)

And Then They Were Doomed: A Little Library Mystery (English Edition)

 

 

『And Then They Were Doomed』 by  Elizabeth Kane Buzzelli

シリーズ名:Little Library Mystery #4

カテゴリ: コージーミステリ

 

 アガサ・クリスティー・シンポジウムに招待された10人の作家のひとり、ゾーイ・ゾラは、招待されたことを喜ぶどころかツイてないとさえ思っていた。ゾーイの他、クリスティー研究者である他の招待客たちが会場となるホテルに集まり、開会を祝した夕食会が始まるなり、意見の食い違いから激しい言い争いがおきる。なかでも険悪な雰囲気を出していた男性客のひとりが翌朝、行方をくらました。

 この名高い作品そっくりに、それからもひとり、またひとりと招待客が姿を消していく。ゾーイは帰ろうとするが車の故障で動けず、友人で司書であり素人探偵でもあるジェニー・ウェストンに助けを求めた。折からの嵐で足止めされたジェニーを待つあいだ、ゾーイが生き残るにはクリスティーに関するあらゆる知識を総動員するしかない!

 

 ジェニーとゾーイは隣人同士。母が運営する私設図書館で司書をしているジェニーと、小人症という特性をもつ作家のゾーイがチームで事件解決にあたるシリーズ。これまではジョイス・キャロルやエミリー・サットン、ジェーン・オースティンといった作家にちなんだ設定をしてきて、4作目の今回はアガサ・クリスティーがテーマ。

 クリスティーのファンはどこでも「孤島」に集まってひと騒ぎしたくなるものなのかしらねぇ。

 

 

 

 

『The Perfect Wife』 by  J.P. Delaney

シリーズ名: ノンシリーズ

カテゴリ: スリラー

 

 長い昏睡状態から目覚めたアビーは記憶を失っていた。夫だという男性はテクノロジー業界の大物で、シリコンバレー随一のスタートアップ企業の創業者のひとり。彼によると、アビーは才能あふれるアーティストであり、サーフィンが大好きで、妻としても母としても完璧な女性だった。5年前にひどい事故にあって昏睡に陥ったが、革新的な技術開発により意識をとりもどしたのだ、と。

 だが、結婚生活の記憶を少しずつたどるにつれ、夫の言うことに疑問を持ちはじめるアビー。ずっと一緒にいようという夫の言葉はどこまで信じられるのか。5年前、いったいどんな事故があったというのか。

 

 ハヤカワ・ポケミスから『カルニヴィア』三部作が出ているジョナサン・ホルトの別名義による作品。ディレイニー名義では3作目となる。カルニヴィアの評判も良いし、ディレイニー名義の『The Girl Before』もロン・ハワードの監督で映像化される(2017)など、期待できる要素は十分。

 

 

 

Utopia 58 (English Edition)

Utopia 58 (English Edition)

 

 

『Utopia 58』 by  Daniel Arenson

シリーズ名:ノンシリーズ

カテゴリ:ディストピア

 

 ユートピア58。それは北アメリカの崩壊後に創設された理想の地。人種も性別も、年齢も区別されない、完璧な調和を達成した真に平等な世界。ここでは、人はみな平等でなければならない

 美しすぎるならマスクをつける。背が高すぎるなら足を短くする。男/女らしすぎる? 大丈夫、医者がちゃんと直してくれる。頭が良すぎる? 余計な考えは頭の中に鳴り響くブザーがかき消してくれる。誰もが等しい。突出するものはいない。

 KB209が生まれたのはそんな理想郷だった。名前も与えられない。過去も未来もない。大勢のうちのひとりに過ぎない彼は、ほかのみんなとまったく同じだった。

 ある日、彼は活動家たちが集会をしているところで、そんな社会に反旗をひるがえす衝撃的な光景を目にする。「わたしたちは人とは違う。わたしたちは個人だ。私たちは自由になる!」

 

 平等という言葉の解釈は難しい。それぞれに凸凹のあるひとり一人に、同じものを同じだけ与えるのが平等だということもあれば、その凸凹を均すようにそれぞれ違うものを与えるのだ平等だという場合もあるだろう。同じ「平等」という言葉で目指すものは多様であっていい。違いを認めない、というほどに「みなが同じ」になることは、はたして平等なのか、と問いかける本作は、エンタメというには重たそうだけど、エンタメというとっつきやすさを借りて多くの人の考えるきっかけになるといいな。

 

 

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気になる新刊 ~2019年7月~

 

The Poison Garden (English Edition)

The Poison Garden (English Edition)

 

 

『The Poison Garden』 by  Alex Marwood

シリーズ名:ノンシリーズ

カテゴリ: スリラー

 

 22才になったロミーは生まれ育ったカルト集団のコミュニティから逃げ出した。一人ぼっちになったとはいえ、お腹には赤ちゃんがいる。新しい世界で生き抜いていくには学ぶべきことが山積みだった。

 どんな人なら信じていいのか、誰を恐れなくてはならないのか。本当の家族は誰で、母はなぜずっと昔にコミュニティを出ていったのか。暗い過去を振り捨てることはできるのか。

 

 エドガー賞受賞のデビュー作『邪悪な少女たち』(ハヤカワ、2014)は評価が二分したようですが、2作目 The Killer Next Door をあの“スティーブン・キングが絶賛”した(笑)というのがモヤるところです。Goodreadsの星の数は過去作で3~4が多いのに対して、今作は4~5が多め、というところに期待しています。

 

 

 

Death in a Budapest Butterfly (A HUNGARIAN TEA HOUSE MYSTERY Book 1) (English Edition)

Death in a Budapest Butterfly (A HUNGARIAN TEA HOUSE MYSTERY Book 1) (English Edition)

 

 

『Death in a Budapest Butterfly』 by  Julia Buckley

シリーズ名: Hungarian Tea House Mystery #1

カテゴリ: コージーミステリ

 

 ハンガリー系移民の血をひくケラー一家が経営するヨーロピアン・スタイルのティーハウス〈マギーズ・ティーハウス〉のいちばんの魅力は、ハナの祖母ジュリアナによる「茶葉占い」。ところが近頃、ジュリアナはなんだか不穏な未来を読み取るように……。

 ある日、イベントの最中に客のティーカップに毒が盛られ、ハナが愛してやまない〈アンナ・ウェザリー〉のカップが証拠として押収される事態に。

 

 

〈秘密のお料理代行〉シリーズ(コージーブックス)でおなじみ、ジュリア・バックレイの新シリーズがでます。こんどはティーハウスが舞台。ヨーロッパ伝統のお茶の作法だとか、各地の名窯で作られたティーセットだとかのうんちくが楽しめるかも? もちろん、イケメン刑事さんも登場します。

 

 

 

 

『Into the Wildbarrens』 by  Christian Sterling

シリーズ名:The Gems of Elsana #1

カテゴリ:ファンタジー

 

 弱冠20才のファリンだが、まだあと980年はこの世界にとどまる身としてはなんとしても「エルサナの宝石」を探しださなくてはならない。

 この国の平和を守る10人の魔術師のひとりとして、最年少魔術師のファリンはエルサナ王国を構成する4つの国からそれぞれ選ばれた守護戦士を連れて、魔術師たちの力を引きだす4つの宝石を探す100年に1度の探求の旅に出る。頼もしい仲間がいてよかった、と胸をなでおろす間もなく、彼らの行く先は闇の生き物が跋扈するワイルドバレンズだと知らされたうえ、そのワイルドバレンズから生きて帰ったと豪語するならず者のふたり組までくっついてくることになり……

 

 

 ファンタジー好きならあちこちで出会っているはず……とてつもなく齢を重ね、汲めども尽きぬ知識と強大な力を秘めた、「選ばれし者」を教え導く白髭の魔術師に。主人公のサポーターに徹しがちな魔術師自身は、そこにいたるまでにどのように過ごしてきたのか。その魔術師を主人公にしてみたら、という切り口がよい。

 似たような設定としてはD・エディングスの〈ベルガリオン〉シリーズの外伝的な〈魔術師ベルガラス〉と〈女魔術師ポルガラ〉を思い出しますね。あのシリーズも電書になってくれないかなぁ・・・。

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気になる新刊 ~2019年6月~

書いた記事を投稿してないことに月が替わってから気づくという・・・

 

The Last Widow: The latest new 2019 crime thriller from the No. 1 Sunday Times bestselling author (English Edition)
 

 

 

『The Last Widow』 by  Karin Slaughter

シリーズ名:Will Trent #9

カテゴリ: スリラー

 

 暑い夏の夜、疾病管理センターの医師がショッピングセンターの駐車場から何者かによって連れ去られ、当局は必死の捜索にとりかかった。

 1か月後、地面を揺るがす2回の爆発によって日曜の午後の平穏が破られた。狙われたのはアトランタでもっとも賑わう地域――エモリー大学や大規模病院、FBI支局、そして疾病管理センターがある地区だった。

 現場に駆けつけた検察医サラ・リントンとそのパートナーでGBI捜査官のウィル・トレントは、数千人の命をねらった陰謀に巻きこまれていく。ついにサラまでが拉致されると、ウィルは命がけの潜入捜査を開始する。

 

 大人気の〈ウィル・トレント〉シリーズは7作目の翻訳が出たばかりですが、こちらは9作目となります。今回もしょっぱなからハラハラドキドキしそうな予感。

 

 

Guilty as Charred (A Cook-Off Mystery)

Guilty as Charred (A Cook-Off Mystery)

 

 

『Guilty as Charred』 by  Devon Delaney

シリーズ名: Cook-Off Mystery #3

カテゴリ: コージーミステリ

 

 バツイチのシェリーは実家にもどって父親の事業を手伝いつつ、いまは料理コンテストに力を入れている。

 「アメリカのおいしいレシピ」コンテストで優勝し、すっかり有名人になったシェリー。地元ラジオ局のトークショーに招かれてインタビューを受けるはずが、殺人事件のニュースが飛び込んできて・・・。

 殺されたのはシェリーといっしょに地域の共同菜園に関わっていたポピー。口やかましい人ではあったけど、殺されるほどのことではないはず。菜園のオーナーがこのあいだから契約の取り消しを求めていたのに、事件のせいでさらに険悪なムードになってしまった。

 独立記念日の料理コンテストを準備中だったシェリー、あっちもこっちも手際よくまわしていけるのか?

 

 コージー好きならみんな大好きなお料理ミステリ。このシリーズにももちろん、おいしそうなレシピが満載。がっつり遺産を相続するとか、自分でビジネスをしてるとかではない、ある意味パラサイトシングルみたいな主人公は珍しいかも? 中途半端な「家業手伝い」のご身分から、料理研究家としての第一歩を踏み出したのか?

 

 

 

 

The Murderer's Memories: A Novel (English Edition)

The Murderer's Memories: A Novel (English Edition)

 

 

『The Murderer’s Memories』 by  T. S. Nichols

シリーズ名:Memory Detective #2

カテゴリ:SFミステリ

 

 NYPDの刑事コール・ジョーンズが死を恐れないのは、死の瞬間をまさにわがこととして経験することでキャリアを築いてきたからだ。その方法とは、被害者の記憶を受けつぐこと。タブロイド新聞が彼につけたあだ名は「記憶捜査官」。

 前回の事件で記憶移植技術を悪用する組織と関わったことで、これ以上、記憶捜査を続けるのはやめようと決意したコールだが、テロ事件の発生をうけて再び記憶移植を受けることになる。

 自爆テロで死亡した実行犯の記憶をたどり、次に計画されている悪質なテロ計画を解き明かそうとするコールは、テロ集団を先回りして次の事件を防ぐことはできるのか。

 

 記憶伝達にかかわる脳内物質を移植することで、他人の記憶を「思い出せる」技術が確立された、という設定の世界。身近な親族が亡くなった人の記憶を「相続」するケースがほとんどで、それも2~3回を限度とする法律ができている。他人の記憶をいくつも抱え込んでは発狂してしまうことが多いからだ。

 コールは特殊なケースで、これまで14回も移植を受けているが頭がおかしくなってはいない。警察官が捜査に役立てるという大義のもとで特例扱いされているのだ。が、いつおかしくなるかという不安はつきまとっている。

 SF的要素はこの移植技術に関することだけで、ほとんど普通のミステリと変わらないので読みやすいと思う。

 

 

今月はこれ以外にも、カバーからして私の大好物とわかるコージーがたくさんあって迷いに迷った。もっとサクサクと積読解消したいよ~(つд⊂)

 

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気になる新刊 ~2019年5月~

 

Dying for Devil's Food (Cupcake Bakery Mystery Book 11) (English Edition)

Dying for Devil's Food (Cupcake Bakery Mystery Book 11) (English Edition)

 

 

『Dying for Devil’s Food』 by  Jenn McKinlay

シリーズ名:Cupcake Bakery #11

カテゴリ: コージーミステリ

 

 15年ぶりに開かれる高校の同窓会だというのに、メラニー(メル)・クーパーはこれっぽっちも興味がないようす。アンジーはそんな彼女をどうにか出席させることができてほっとしたのもつかの間、メルのライバルだったキャシディが喧嘩をふっかけてきた! 相手にするのをやめようとメルが帰ろうとしたとき、女子トイレで死んでいるメルが発見された。そばには口紅で書かれた、メルを名指しするメモが……。

 

 《カップケーキ探偵》シリーズは何巻まで出たんだっけ? RHブックスと運命とともにしたのだったかしら……(涙)。原書のほうは順調に巻を重ねて11作目となりました。こういうお気楽路線のコージーはたくさんあるのに(ていうか、ありすぎるせいなのか?)なかなか翻訳されないのはさみしい。出てもあとが続かないことも多いし。少部数でもいろいろ出してくれたら、コアなファンだけでも盛り上がれるのになぁ……なんて妄想だけど。

 

 

#YouToo (Dr Jocasta Hughes Mysteries Book 3) (English Edition)

#YouToo (Dr Jocasta Hughes Mysteries Book 3) (English Edition)

 

 

『#YouToo』 by  Candy Denman

シリーズ名: Dr Jocasta Hughes Mystery #3

カテゴリ: スリラー

 

 最初は、それぞれ独立した事件と思われていた。だがスキャンダラスで残忍な類似事件が重なるにつれて、非常勤の法医学者ドクター・ジョカスタ(ジョー)・ヒューズにはそのつながりが見えてきた。背景を探るうちに、まだ次があることを確信するジョー。しかも、次に狙われるのはおそらく、スティーブ・ミラー警部だ。

 

 イギリス南部のヘイスティングスでふだんは町医者として働くジョーは、要請があったときだけ警察に協力する法医学者。地元警察のミラー警部とは友達以上恋人未満?な関係らしい。作者は看護師の仕事と並行してドラマの脚本も手掛けてきたそうで、現在は創作に専念しているようだ。キンドル版ならお手頃価格なこのシリーズ、通して読んでみたい。

 

 

The Red-Stained Wings: The Lotus Kingdoms, Book Two (English Edition)

The Red-Stained Wings: The Lotus Kingdoms, Book Two (English Edition)

 

 

『The Red-Stained Wings』 by  Elizabeth Bear

シリーズ名:The Lotus Kingdoms #2

カテゴリ:ファンタジー

 

 偉大なる魔術師メサリンからの伝言を携え、ロータス王国のひとつサラサイの女王のもとへやってきた自動機械のゲイジとデッドマンだが、その伝言は謎ときをしなければ読み解けないものだった。だがそれを届けるべき先であるロータス王国は分裂戦争の真っただ中にあった。

 魔術師メサリンが作りだした自動機械ゲイジは、メサリンの死後、傭兵となっている。一方、同行するデッドマンは、権力の座を追われたユスマン・カリフェイトの警護の生き残りだ。ふたりはある意味、友人でもあった。

 

 『スチーム・ガール』、〈サイボーグ士官ジェニー・ケイシー〉シリーズが邦訳も出ているヒューゴー賞作家の新作。

 〈ロータス王国〉シリーズとしては2作目となるが、このシリーズそのものが〈エターナルスカイ〉という別シリーズの続きということになっている。世界観を引きつぎながらも新しいストーリーラインだそうなので、まずはこのシリーズを追ってみたい。

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 こちらもいかが?

 

スチーム・ガール (創元SF文庫)

スチーム・ガール (創元SF文庫)

 

 

 

HAMMERED―女戦士の帰還 (ハヤカワ文庫 SF ヘ 9-1 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 1)

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SCARDOWN―軌道上の戦い― [サイボーグ士官ジェニー・ケイシー2] (ハヤカワ文庫SF)

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ウェディングケーキにご用心 カップケーキ探偵1 (RHブックス・プラス)

ウェディングケーキにご用心 カップケーキ探偵1 (RHブックス・プラス)

 

 

 

恋するベーカリーで謎解きを カップケーキ探偵2 (RHブックス・プラス)

恋するベーカリーで謎解きを カップケーキ探偵2 (RHブックス・プラス)

 

 

気になる新刊 ~2019年4月~

 

Next Girl to Die (The Calderwood Cases Book 1) (English Edition)

Next Girl to Die (The Calderwood Cases Book 1) (English Edition)

 

 

『Next Girl to Die』 by Dea Poirier

シリーズ名:The Calderwood Cases #1

カテゴリ: サスペンス

 

 15年まえに姉レイチェルを殺されたクレア・カルダーウッドは、その後故郷を離れて刑事になった。その故郷で、レイチェルと同様の手口で殺人事件が起きたことで、クレアはふたたび過去に呼び戻される。捜査を開始してまもなく、記者のノア・ワシントンがしつこく質問してくるのに閉口するが、少しずつレイチェルの死の真相がわかってくるにつれて、ノアを頼りにするようになっていく。

 

 若い時に近しい人を事件・事故で亡くして後に警察や司法に関わる職に就いた主人公が未解決の過去の真相を探る……という設定は珍しくはないし、この作品が他とは違う特別なものを持っているとも限らないけれど、この表紙の雰囲気が好き(ジャケ買い、てやつですね)。

 ナンバーワンよりオンリーワン、なんて言うけど、似たり寄ったりのワン・オブ・ゼムだってひとつひとつの細部は違うわけで、そういう意味では「またひとつのこういうケース」をいくつでも読みたいということはあるのです。

 

 

 

Staging is Murder (A Laura Bishop Mystery Book 1) (English Edition)

Staging is Murder (A Laura Bishop Mystery Book 1) (English Edition)

 

 

『Staging is Murder』 by Grace Topping

シリーズ名: Laura Bishop Mystery #1

カテゴリ: コージーミステリ

 

 ローラ・ビショップが初めてつかんだホームステージングの仕事は、19世紀にたてられた屋敷だった。もう何十年も手を入れていないオンボロ屋敷を、今の時代に売れるように装飾しなおすのだ。ところが、ランドリーシュートを死体が滑り落ちてきたとなれば、花模様の壁紙を張り替えるだけでは仕事は終わらない。ましてやアシスタントが容疑者にされてしまうなんて!

 始めたばかりの事業を続けていくには一日も早く事件を解決してもらわなければ。それなのに、事件を担当する刑事と不動産業者というふたりのイケメンは話をややこしくするばかり。何かというと星占いを振りかざしてくる親友や頑固者のおばあちゃんの口出しをかわしつつ、ローラは廃業の危機を回避できるのか?

 

 日本ではなかなか根付かないようですが、アメリカではホームステージングという職業はそれほど珍しくないようですね。中古住宅を売るために、新築と同じように室内装飾を施してみせるものです。新築の住宅ではモデルハウスに家具家電を設置して生活をイメージしやすくするのは一般的なのに、中古の場合は壁や床の張り直しなどリフォームが優先されるので、買い手が見せられるのはキレイだけど空っぽの室内、ということが多いのでは?

 テクニカルライターとして、長年にわたってムダもなければ面白みもない文章をつづってきた作者は、これまでに出会ってきた「イヤなやつら」をフィクションの中でひどい目に合わせるのを楽しんでいる(笑)そう。

 

 

The King Who Disappeared (English Edition)

The King Who Disappeared (English Edition)

 

 

『The King Who Disappeared』 by Hank Quense

シリーズ名:ノンシリーズ

カテゴリ:ファンタジー

 

 邪悪な魔術師ジェラドにかけられた魔法によって、ボーハン王は200年もの間、閉ざされた洞窟にとらわれていた。王のおかかえ魔術師アンスガーは王とその従者たちを眠りにつかせたが、地震でその洞窟の入り口が崩れたとき、眠りの魔法もまた解かれた。

 王の一行は自分たちがどれほど長いあいだ眠っていたのか見当もつかなかったが、見回りにやってきたレティシアと名乗る女性から基本的な情報を教えてもらう。彼女はこの一行が学校で教わった伝説の〈消えた王様〉だと気づく。彼女は王に、現在この国を支配しているのはジェラドという魔術師だと告げる。

 ボーハン王は首都ダン・ハイスに行って復讐を果たそうと決意する。ジェラドの娘フラヴィアによって父を幽閉されているレティシアもまた、王に同行することにした。それに気づいたジェラドは娘フラヴィアと息子リスゴウにそれぞれ兵を与えて迎え撃たせるが、ダン・ハイスの市民は王の側につくことを決め、王たちを市内にかくまう。

 

 重厚なストーリーかと思いきや、ユーモアと風刺が盛りだくさんの痛快勧善懲悪ものらしいです。作者のハンク・クエンスはこのユーモアと風刺が大好きなようで、他の作品もこういう作風なんだとか。小学生を対象に小説の書き方やキャラクターの作り方を教えることもあるというから、「とにかく面白いのがいちばん!」という考えなのでしょう。ならば、読むほうもとにかく楽しんだもの勝ち!

 

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気になる新刊 ~2019年3月~

 

 

Silent Bud Deadly by H.Y. Hanna

シリーズ名:English Cottage Garden Mystery #2

カテゴリ: コージーミステリ

 

 イギリスの片田舎にあるコテージをその庭園と茶トラのオス猫ともども相続したポピーだが、パンジーペチュニアの区別もつかないところからガーデニングを始めることになった。

 新天地での生活もようやく落ち着き、どうにか仕事も見つかったばかりだというのに、またしても近所で殺人事件が発生! いたってマイペースな隣人のニックをはじめ、一癖も二癖もある村人たちをかきわけて、真犯人をみつけられるのか?!

 

 Deadhead and Buriedに続くイングリッシュコテージガーデンを舞台にしたシリーズ2作目。作者は台湾出身で、オックスフォード大学卒業後、フリーランスのジャーナリストとして世界各地を飛び回りつつ、英語圏各地で短編や詩を発表し、賞をとった作品もあるそう。

 このシリーズのセールスポイントのひとつが「クリーン」であること。過激な暴力や性描写、汚い言葉がでてこない、ということ。それじゃものたりない、という人はどうぞスルーして。そういうものがなくても面白いミステリーであることがコージーの王道なわけで。

 

 

 

A Beautiful Corpse: A Harper McClain Mystery (English Edition)

A Beautiful Corpse: A Harper McClain Mystery (English Edition)

 

 

A Beautiful Corpse by Christi Daugherty

シリーズ名: Harper McClain Mystery #2

カテゴリ: サスペンス

 

 女性にとって、きみを愛していると言ってせまってくる相手に殺されることは珍しくもなんともない。

 風光明媚なことで知られるジョージア州サヴァナの一角で女性が殺された事件は街を震えあがらせたが、ハーパーには他人事ではすませられない事情があった。被害者の顔に見覚えがあったのだ。

 法律を学ぶ大学生ナオミ・スコットは、バーテンダーとして働きながら世界を変えることを夢見ていた。彼女が銃で殺されたとき目撃者はなく、警察が目をつけた容疑者は3人。過去に犯罪歴のあるボーイフレンド、別のバーテンダーを追いかけまわしていたことがある上司、以前ナオミと交際していた地方検事の息子。3人ともナオミを愛していた、と主張するが……?

 新聞社がリストラに乗りだし、失職の危機に面しながらも事件の真相を探るハーパーだが、彼女自身もまた見張られているような感覚におそわれる。

 

 作者は22才で新聞記者になったことで殺人事件を取材するようになり、ペンネームでYA作品をいくつか発表した後、The Echo Killingに始まる事件記者ハーパー・マクレインシリーズでミステリー作家デビューを果たした。

 1作目では、新聞記者となったハーパーが追っていた事件が、彼女が12才のときに惨殺された母親の事件とそっくりで、同一犯を疑って調査を進めた。観光客に大人気の上品な街に生まれ育ちながら、苦い思いを抱えて生きるヒロインの活躍に期待が膨らみます。

 

 

 

The Women's War (English Edition)

The Women's War (English Edition)

 

 

The Women’s War by Jenna Glass

シリーズ名:The Women’s War #1

カテゴリ:ファンタジー

 

 高貴な人々にとって、なによりもまず果たすべき使命が「世継ぎたる男児を得ること」であった場合、女性は男性の所有物であり、交渉のための駒として扱われがちだ。だが、世界を揺るがした魔法の余波が人の体にも文化にもしみわたるにつれて、女性たちは自ら交渉権を手に入れる。

 国王の娘でありながら相続権をもたないアリスは、10代の子供2人を残して夫に先立たれていた。王国内では彼女は存在しないに等しい扱いを受けていたが、この魔法の余波によって、これまで男のものとされてきた政治と魔法について、非凡な才能が芽生えたことに気づく。

 隣国では、国王をはじめ王位継承権者が次々と命を落としたため、そんなことをまったく想定していなかった王の孫娘エリンが王座につくことになった。誰もが当然のごとく、彼女が早々に結婚して夫に王座を明け渡すだろうと考えたが、エリン自身には別の考えがあった。

 家父長制度を脅かす魔法を女性たちが身につけたとき、権力を失うまいと必死の男たちとの戦いが始まる。

 

 

 作者のジェナ・グラスは米デューク大で自然人類学を学んだが、霊長類研究への情熱を創作へと方向転換し、ジェナ・ブラック名義でYAやロマンス作品を発表してきた。本作がJ・グラス名義でのデビュー作となる。

 女性だけが特別な力を得て男女の力関係が逆転するという設定はナオミ・オルダーマン『パワー』でも見られたが、舞台が近未来のアメリカとファンタジー世界とではまた男女の格差の重みも違い、ファンタジー世界ならではのダイナミックな戦いが期待できそう。

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気になる新刊 ~2019年2月~

 

 

『Welcome to Spicetown』 by Sheri Richey

シリーズ名:Spicetown Mystery #1

カテゴリ: コージー

 

 オハイオ州の片隅にある小さな町スパイスタウン。シルバー世代が挙動不審になったり、コピー商品を売る店が開店したり、新年を祝う花火の装飾が消えうせたり・・・おかしなことが立て続けに起きているとなれば、町長も警察も安穏としているわけにはいかない、よね?

 

 紙での出版がなくキンドルのみ、格安、というあたりからも自費出版と思われます。内容説明も乏しく、先行して読んだ人の感想も見当たらないので判断が難しいところですが、私的にはこの表紙のイラストがかわいらしくていいな、と思いました。171ページは長めの中編というところ。正直、この分量にミステリ要素とロマンス要素を詰めこんだらほとんどあらすじじゃないかという気もしますが、〈Eden Hall〉というロマンスのシリーズをすでに5作も書いている作家さんだし、お手並み拝見といきましょう。

 

 

Remember Me: An absolutely gripping psychological thriller with a brilliant twist (English Edition)

Remember Me: An absolutely gripping psychological thriller with a brilliant twist (English Edition)

 

 

『Remember Me』 by D. E. White

シリーズ名:

カテゴリ: スリラー

 

 15年前、ウェールズ地方の小さな村からエレン・スミスが姿を消し、それ以来誰も彼女を見た者はいなかった。事件当夜、現場近くにいた8人はその後それぞれの道を進み、それぞれの秘密を抱えていた。

 エレンの親友エイヴァ・コールは故郷を離れて警官になった。だが元夫がガンで死の淵にあると知らされ、ずっと会っていなかった息子に会うため、事件のあった村に帰ってみると、皆が口をそろえたように尋ねる:「本当はエレンに何があったの?」

 関係者たちが秘密にしていること、覚えていること、忘れてしまったこと・・・・真実を掘りおこすことはできるのか。

 

 ミステリーのシリーズ作品を書いてきたデイジー・ホワイトが別名義で書いた心理スリラーデビュー作。過去にあった事件の当事者のひとりが大人になって真相にせまる、といえばC.J.チューダー『白墨人形』を思いだしますが、こちらはゲラで読んだレビューアーの意見は分かれ気味? 星3つが一番多いという評価はやや辛口か。カバーデザインの印象としては、『白墨』が恐怖・虚無感があったのにくらべて、こちらはどこか悲哀・寂莫を感じるというか、感傷的というか。

 

 

 

The Priory of the Orange Tree (English Edition)

The Priory of the Orange Tree (English Edition)

 

 

『The Priory of the Orange Tree』 by Samantha Shannon

シリーズ名:

カテゴリ:ファンタジー

 

 千年にわたってイニスを収めてきたベレスネット家だが、現女王サブラン九世にはまだ世継ぎの娘がいない。王国を守るためには何としても娘が欲しい女王だが、そんな彼女に暗殺者が忍び寄る。

 宮廷内ではのけ者にされながらも女官の職を得たエアード・デュリャンは、じつは魔法使いの秘密結社に忠誠を誓っている。女王サブランの身の回りに油断なく目を光らせ、禁断の魔法で女王を護っている。

 暗黒の海の向こうでは、ドラゴンライダーになるべく修行を重ねてきたタネィが、この先の人生を引き裂かれるような選択を迫られる。

 

 

 女系の王家に警護の女官、竜使いも女性。マーガレット・アトウッドにも刺激を受けたという著者が挑むエピックファンタジーなら、女性たちの快進撃が期待できるに違いないのでは? 800ページを超す重量級ながら挑戦しがいがありそう。

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