つぎはコレ読みたい ~コージーミステリ三昧~

果てしない積読山脈をじりじりと登攀中。さらに山を高くするべく(?)新刊の中から自分が読みたい本、みんなに読んでほしい本を紹介しています。ミステリ全般、コージーミステリ、SF&ファンタジーを中心に。

気になる新刊 ~2019年3月~

 

 

Silent Bud Deadly by H.Y. Hanna

シリーズ名:English Cottage Garden Mystery #2

カテゴリ: コージーミステリ

 

 イギリスの片田舎にあるコテージをその庭園と茶トラのオス猫ともども相続したポピーだが、パンジーペチュニアの区別もつかないところからガーデニングを始めることになった。

 新天地での生活もようやく落ち着き、どうにか仕事も見つかったばかりだというのに、またしても近所で殺人事件が発生! いたってマイペースな隣人のニックをはじめ、一癖も二癖もある村人たちをかきわけて、真犯人をみつけられるのか?!

 

 Deadhead and Buriedに続くイングリッシュコテージガーデンを舞台にしたシリーズ2作目。作者は台湾出身で、オックスフォード大学卒業後、フリーランスのジャーナリストとして世界各地を飛び回りつつ、英語圏各地で短編や詩を発表し、賞をとった作品もあるそう。

 このシリーズのセールスポイントのひとつが「クリーン」であること。過激な暴力や性描写、汚い言葉がでてこない、ということ。それじゃものたりない、という人はどうぞスルーして。そういうものがなくても面白いミステリーであることがコージーの王道なわけで。

 

 

 

A Beautiful Corpse: A Harper McClain Mystery (English Edition)

A Beautiful Corpse: A Harper McClain Mystery (English Edition)

 

 

A Beautiful Corpse by Christi Daugherty

シリーズ名: Harper McClain Mystery #2

カテゴリ: サスペンス

 

 女性にとって、きみを愛していると言ってせまってくる相手に殺されることは珍しくもなんともない。

 風光明媚なことで知られるジョージア州サヴァナの一角で女性が殺された事件は街を震えあがらせたが、ハーパーには他人事ではすませられない事情があった。被害者の顔に見覚えがあったのだ。

 法律を学ぶ大学生ナオミ・スコットは、バーテンダーとして働きながら世界を変えることを夢見ていた。彼女が銃で殺されたとき目撃者はなく、警察が目をつけた容疑者は3人。過去に犯罪歴のあるボーイフレンド、別のバーテンダーを追いかけまわしていたことがある上司、以前ナオミと交際していた地方検事の息子。3人ともナオミを愛していた、と主張するが……?

 新聞社がリストラに乗りだし、失職の危機に面しながらも事件の真相を探るハーパーだが、彼女自身もまた見張られているような感覚におそわれる。

 

 作者は22才で新聞記者になったことで殺人事件を取材するようになり、ペンネームでYA作品をいくつか発表した後、The Echo Killingに始まる事件記者ハーパー・マクレインシリーズでミステリー作家デビューを果たした。

 1作目では、新聞記者となったハーパーが追っていた事件が、彼女が12才のときに惨殺された母親の事件とそっくりで、同一犯を疑って調査を進めた。観光客に大人気の上品な街に生まれ育ちながら、苦い思いを抱えて生きるヒロインの活躍に期待が膨らみます。

 

 

 

The Women's War (English Edition)

The Women's War (English Edition)

 

 

The Women’s War by Jenna Glass

シリーズ名:The Women’s War #1

カテゴリ:ファンタジー

 

 高貴な人々にとって、なによりもまず果たすべき使命が「世継ぎたる男児を得ること」であった場合、女性は男性の所有物であり、交渉のための駒として扱われがちだ。だが、世界を揺るがした魔法の余波が人の体にも文化にもしみわたるにつれて、女性たちは自ら交渉権を手に入れる。

 国王の娘でありながら相続権をもたないアリスは、10代の子供2人を残して夫に先立たれていた。王国内では彼女は存在しないに等しい扱いを受けていたが、この魔法の余波によって、これまで男のものとされてきた政治と魔法について、非凡な才能が芽生えたことに気づく。

 隣国では、国王をはじめ王位継承権者が次々と命を落としたため、そんなことをまったく想定していなかった王の孫娘エリンが王座につくことになった。誰もが当然のごとく、彼女が早々に結婚して夫に王座を明け渡すだろうと考えたが、エリン自身には別の考えがあった。

 家父長制度を脅かす魔法を女性たちが身につけたとき、権力を失うまいと必死の男たちとの戦いが始まる。

 

 

 作者のジェナ・グラスは米デューク大で自然人類学を学んだが、霊長類研究への情熱を創作へと方向転換し、ジェナ・ブラック名義でYAやロマンス作品を発表してきた。本作がJ・グラス名義でのデビュー作となる。

 女性だけが特別な力を得て男女の力関係が逆転するという設定はナオミ・オルダーマン『パワー』でも見られたが、舞台が近未来のアメリカとファンタジー世界とではまた男女の格差の重みも違い、ファンタジー世界ならではのダイナミックな戦いが期待できそう。

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ ミステリー・推理へ
にほんブログ村

気になる新刊 ~2019年2月~

 

 

『Welcome to Spicetown』 by Sheri Richey

シリーズ名:Spicetown Mystery #1

カテゴリ: コージー

 

 オハイオ州の片隅にある小さな町スパイスタウン。シルバー世代が挙動不審になったり、コピー商品を売る店が開店したり、新年を祝う花火の装飾が消えうせたり・・・おかしなことが立て続けに起きているとなれば、町長も警察も安穏としているわけにはいかない、よね?

 

 紙での出版がなくキンドルのみ、格安、というあたりからも自費出版と思われます。内容説明も乏しく、先行して読んだ人の感想も見当たらないので判断が難しいところですが、私的にはこの表紙のイラストがかわいらしくていいな、と思いました。171ページは長めの中編というところ。正直、この分量にミステリ要素とロマンス要素を詰めこんだらほとんどあらすじじゃないかという気もしますが、〈Eden Hall〉というロマンスのシリーズをすでに5作も書いている作家さんだし、お手並み拝見といきましょう。

 

 

Remember Me: An absolutely gripping psychological thriller with a brilliant twist (English Edition)

Remember Me: An absolutely gripping psychological thriller with a brilliant twist (English Edition)

 

 

『Remember Me』 by D. E. White

シリーズ名:

カテゴリ: スリラー

 

 15年前、ウェールズ地方の小さな村からエレン・スミスが姿を消し、それ以来誰も彼女を見た者はいなかった。事件当夜、現場近くにいた8人はその後それぞれの道を進み、それぞれの秘密を抱えていた。

 エレンの親友エイヴァ・コールは故郷を離れて警官になった。だが元夫がガンで死の淵にあると知らされ、ずっと会っていなかった息子に会うため、事件のあった村に帰ってみると、皆が口をそろえたように尋ねる:「本当はエレンに何があったの?」

 関係者たちが秘密にしていること、覚えていること、忘れてしまったこと・・・・真実を掘りおこすことはできるのか。

 

 ミステリーのシリーズ作品を書いてきたデイジー・ホワイトが別名義で書いた心理スリラーデビュー作。過去にあった事件の当事者のひとりが大人になって真相にせまる、といえばC.J.チューダー『白墨人形』を思いだしますが、こちらはゲラで読んだレビューアーの意見は分かれ気味? 星3つが一番多いという評価はやや辛口か。カバーデザインの印象としては、『白墨』が恐怖・虚無感があったのにくらべて、こちらはどこか悲哀・寂莫を感じるというか、感傷的というか。

 

 

 

The Priory of the Orange Tree (English Edition)

The Priory of the Orange Tree (English Edition)

 

 

『The Priory of the Orange Tree』 by Samantha Shannon

シリーズ名:

カテゴリ:ファンタジー

 

 千年にわたってイニスを収めてきたベレスネット家だが、現女王サブラン九世にはまだ世継ぎの娘がいない。王国を守るためには何としても娘が欲しい女王だが、そんな彼女に暗殺者が忍び寄る。

 宮廷内ではのけ者にされながらも女官の職を得たエアード・デュリャンは、じつは魔法使いの秘密結社に忠誠を誓っている。女王サブランの身の回りに油断なく目を光らせ、禁断の魔法で女王を護っている。

 暗黒の海の向こうでは、ドラゴンライダーになるべく修行を重ねてきたタネィが、この先の人生を引き裂かれるような選択を迫られる。

 

 

 女系の王家に警護の女官、竜使いも女性。マーガレット・アトウッドにも刺激を受けたという著者が挑むエピックファンタジーなら、女性たちの快進撃が期待できるに違いないのでは? 800ページを超す重量級ながら挑戦しがいがありそう。

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ ミステリー・推理へ
にほんブログ村

 

 

気になる新刊 ~2019年1月~

 

Dead as a Door Knocker: A House-Flipper Mystery (English Edition)

Dead as a Door Knocker: A House-Flipper Mystery (English Edition)

 

 

『Dead as a Door Knocker』 by Diane Kelly

シリーズ名:House-Flipper Mystery #1

カテゴリ:コージー

 

 企業の資産管理部門で働いていたホイットニーだが、いずれは中古住宅をリノベーションして転売するというのを仕事にしたいと思っている。そんな彼女がいとこにも資金協力してもらい、複雑怪奇な書類手続きを乗りこえてようやく手がけることになったボロ家には、後から後から問題続出。その極めつけが、彼女の飼い猫ソウダスト(おがくずの意)が花壇で見つけた死体が売主のものだったこと。すでに抵当に入っているこの家が抵当流れになってしまえば大損だ。そうなる前に事件を解決しなければ!

 

 作者ダイアン・ケリーは元税務顧問で、その経歴を活かしたロマンティックミステリシリーズや、警察官体験プログラムの経験からヒントを得た警察犬が活躍するシリーズが人気。

 この新シリーズで取りあげるテーマは「ホームリノベーション」。アメリカでは自宅の改装・改築を自力でやろうとする人は多く、それが高じて趣味に、さらにはそれを仕事に、というルートが珍しくないのか、ホームリノベーションものはいろいろな作品が出てますね。そして古い家にはいろんなモノが隠されていたり隠れていたり……。どんな話が転がり出てくるか、今後も楽しみなシリーズです。

 

 

 

The Family Secret: A gripping emotional page turner with a breathtaking twist (English Edition)

The Family Secret: A gripping emotional page turner with a breathtaking twist (English Edition)

 

 

『The Family Secret』 by Tracy Buchanan

シリーズ名:ノンシリーズ

カテゴリ:スリラー

 

 10年前に子供を亡くしてから、アンバーは自分のギフトショップの経営に没頭してきた。一時停止したような時間を生きていたある日、アンバーは近くの海岸でひとりの少女を保護する。怪我をしたその少女は、自分の名前も、どこから来たのかも覚えていなかった。

 グウィネスは野生動物のドキュメンタリー制作という仕事のため、世界中を飛びまわっている。スコットランドにいたとき、凍えるような湖で溺れそうになったグウィネスはマクラスキー一家に助けられ、彼らの家に滞在することになるが、この一家にはある秘密が隠されていた。

 

 2つの時間軸を行きつ戻りつしながら進むストーリーで、家族というもの、家族だからこその秘密、喪失や愛について語られる。家族ドラマを得意とする作者ならではの辛さも愛おしさも心に染み入るような作品。

 

 

The Gutter Prayer (The Black Iron Legacy Book 1) (English Edition)

The Gutter Prayer (The Black Iron Legacy Book 1) (English Edition)

 

 

 

『The Gutter Prayer』 by Gareth Ryder-Hanrahan

シリーズ名:The Black Iron Legacy #1

カテゴリ:ファンタジー

 

 人間と魔術師、古きものどもが100年も続けてきた魔術戦争に放りこまれたのは、3人の若き盗賊たち。盗賊ギルドの長に裏切られた彼らは復讐を誓うが、その過程で彼らが住む街の黒い真実があばかれ、彼らが生まれる前から仕組まれてきた、危険に満ちた陰謀も明らかになってくる。

 孤児のカリは過去も未来も闇に包まれた放浪者。悪鬼(グール)のラットの氏族は街の地下世界を脅かす。ストーンマンのスパーはおそろしい病のために体がしだいに石化していく。最終決戦に立ち向かう彼らを支える絆とは。

 

 トールキンの『指輪物語』の舞台〈中つ国〉に関する著作もあり、クトゥルー神話にも通じていて、ゲームデザイナーでもある作者、というだけでもう、いろいろ期待してしまう。RPGやホラーなどゲームを原作とする小説や、ゲーム化される小説が注目される昨今、気になる作家、シリーズになりそう。

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ ミステリー・推理へ
にほんブログ村

 

 

気になる新刊 ~2018年12月~

 

One Taste Too Many (A Sarah Blair Mystery Book 1) (English Edition)

One Taste Too Many (A Sarah Blair Mystery Book 1) (English Edition)

 

 

『One Taste Too Many』 by Debra H. Goldstein

シリーズ名:Sarah Blair Mystery #1

カテゴリ:コージーミステリ

 

 18歳で結婚、28歳で離婚したサラ・ブレア。生まれてから一度も離れたことのない故郷の町で極狭アパートと法律事務所での受付の仕事を手に入れるも、双子の妹エミリーが地元の高級レストランでシェフとして活躍するのとは対照的に料理は大の苦手。

 人生の再出発は甘くないとは覚悟していたけれど、エミリー自慢のデザートを食べた元夫が急死したことで事態はさらに悪化。殺人容疑をかけられたエミリーを救うため、じっとしてはいられない……とはいえ、キッチンに立つのは死ぬよりつらい!?

 

 出版業界から行政法判事に転身するという経歴を持つ著者はシスターズ・イン・クライムで最大支部支部長や米探偵作家クラブ(MWA)の支部長も務めている。長編はこれが3作目ながら、短編ではアンソニーやアガサ賞にもノミネートされるなどなかなかの実力者と思われます。シャム猫の活躍も期待できるかも? そしてお約束、(サラでも作れる?)簡単レシピつき。

  

The Au Pair (English Edition)

The Au Pair (English Edition)

 

 

『The Au Pair』 by Emma Rous

シリーズ名:ノンシリーズ

カテゴリ:サスペンス

 

 ステファニーと双子の弟ダニーを生んだ数時間後に崖から身を投げた母。住み込んでいた〈オ・ペア〉も失踪し、海辺の村にはさまざまな憶測が飛び交った。

 大人になったステファニーは、父の遺品を整理していて不審な家族写真を見つける。夫と幼い息子に囲まれて穏やかに微笑む母の腕に抱かれている赤ちゃんは、1人だけだった。ダニーとは双子ではなかったのか? あの日、家族に何があったのか? 答えを知っているはずのただ1人の女性を、ステファニーは見つけることができるのか。

 

 こちらは獣医師から作家への転身をとげた著者のデビュー作。書評誌や女性誌で「2019年に読むべき本」的なリストにいくつもエントリーされている話題作。

 

 

 

 

 

『The Bastard Prince』 by Patty Jansen

シリーズ名:Dragonspeaker Chronicle #1

カテゴリ:ファンタジー

 

 サールダムの摂政バーナードの屋敷で台所女中をしているネリーは、2代にわたる王と摂政に仕えてきた。2つの王室が魔法によって殺されるのも目の当たりにしてきた彼女が50歳の誕生日をむかえたとき、亡父の日記を手に入れた。日記には、教会の地下に安置しておかなくてはならない、ドラゴンを閉じ込めた箱に関する記述があった。だがその箱が何者かに盗みだされてしまったのだ。

 バーナードが長男の誕生日を祝う宴を催したとき、各地から客人が招かれた。その中のひとりの貴族が持ち込んだ荷物の中に、ネリーはドラゴンが入った箱を見分ける。しかし、バーナードが魔法の根絶を拝命していた事情もあり、ネリーは波風を立てないようおとなしくしているつもりだった。

 だがドラゴンのほうは、おとなしくしているつもりなどこれっぽっちもなかった。

 

 ファンタジーのシリーズ作品をいくつも出しているベテランながら、日本ではまだ紹介されていないようで残念。このDragonspeaker Chronicleは3部作で、3冊とも同時発売。

 

 

 

 

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ ミステリー・推理へ
にほんブログ村

 

気になる新刊 ~2018年11月~

お待たせしました。

先月末に身内が骨折して入院だなんだと落ち着かず、あっという間に11月になってしまいましたね。今月も面白そうな新作がたくさんなんですが、3冊選びましたよ。

 

In Peppermint Peril: A Tea and a Read Mystery (English Edition)

In Peppermint Peril: A Tea and a Read Mystery (English Edition)

 

 

『In Peppermint Peril』 by Joy Avon

シリーズ名:Tea and a Read Mystery #1

カテゴリ:コージーミステリ

 

 本をテーマにしたティーパーティを手伝うことになったキャリー・アスペンが、ボストンテリアをお供に難事件に挑む。

 キャリーの大おばが経営するティールーム〈ブック・ティー〉では、古今の本にちなんだスイーツが評判だ。クリスマスを前に地元の裕福な未亡人ドロテアに頼まれ、彼女が住むヘイウッド・ホールでのティーパーティを仕切ることになったキャリー。ドロテアは親族や友人、街の有力者を招いて、自分の遺書について重大発表をするつもりなのだ。

 一部なりとも遺産をもらえるつもりで集まった人々を前に、キャリーの友人シェイラが娘の婚約を発表したことで、話がどんどんこじれていく。婚約指輪が行方不明になり、サンルームには死体が……。

 

 

 ローナ・バレット〈本の街の殺人〉シリーズや、ジェン・マッキンリー〈カップケーキ探偵〉シリーズがお好きならきっと楽しめそう。ただし、本の話はそれほどディープではなさそうなので、そこを期待するとちょっと……かも。本の話は風味付け程度に、田舎町の気心知れたどうしの愛憎劇3を楽しむつもりでどうぞ。

 

 

 

The Snow Girls (English Edition)

The Snow Girls (English Edition)

 

 

『The Snow Girls』 by Chris Mooney

シリーズ名:Darby McCormick #8

カテゴリ:ミステリ

 

 ボストン警察科学捜査官のダービー・マコーミックは、11年前に失踪したクレア・フリンの事件を覚えていた。容疑者はただ一人、他に2件の失踪事件でも疑われたバーン神父だったが、証拠がつかめていなかった。

 そのバーン神父が自分の死期を悟ったとき、話をしたいと望んだのがダービーだった。ついに告白するのかと思いきや、神父ははるかにおぞましい話をしたのだった。

 

 10年くらい前にシリーズ1作目の『贖罪の日』(講談社文庫)くらいしか紹介されていないクリス・ムーニーですが、新作は同じくダービー・マコーミックを主人公とするシリーズ8作目。カレン・ローズとかリサ・ガードナーあたりのロマンティックサスペンス(?)スリラー(?)系統のようです。科学捜査班(CSI)メンバーといっても、科学捜査自体を詳しく語るというわけでもなさそうなので、そちら方面を期待するとがっかりするかも。

 

 

The Winter Road (English Edition)

The Winter Road (English Edition)

 

 

『The Winter Road』 by Adrian Selby

カテゴリ:ファンタジー

 

 偉大なる帝国はすべて、1本の道から始まった。

 すべての道は、戦いに通じている。

 

 ベテランの元傭兵テイア・アモンゼンは、〈サークル〉と呼ばれる危険な森に道を切り開こうとしていた。テイアはかつてそこに暮らしたことはあったが、氏族どうしの争いが絶えず、危険が多すぎるため、まだ誰もその森を制した者はいない。だがいま、その氏族をまとめ、人々を脅かして〈サークル〉に君臨しようとする者があらわれた。

 隊商の一員として息子とともに〈サークル〉に点在する開拓地を回りながら、いつかこれらの拠点を通商ルートで結ぶのがテイアの夢だ。しかし、ある氏族の若き後継者がホワイトボーイズと名乗る仲間を引きつれて暴力と恐怖で各氏族を支配しようと動き始め、平和的な発展を望むテイアの前に立ちはだかる。

 

ノンシリーズのダークファンタジー。デビュー作『Snakewood』と同じ世界観のなかでありながら、別のストーリーということらしい。植物の使われ方がユニークで、病気やけがの治療のほか、心身の能力を高めたり毒薬にするためのレシピなども出てくるそうで、魔術ではないけれど魔術風味も味わえそう。

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ ミステリー・推理へ
にほんブログ村

 

気になる新刊 ~2018年10月~

 

Murder by the Book (Bookstore Mystery)

Murder by the Book (Bookstore Mystery)

 

 

『Murder by the Book』 by Lauren Elliott

シリーズ名:Beyond the Page Bookstore Mystery #1

カテゴリ:コージーミステリー

 

 ボストン公共図書館の職員だったアディ・グレイボーンは、稀覯本の取り扱いやそこに秘められた過去の謎を解き明かすことにやりがいを感じていたものの、婚約者が殺されても犯人が捕まらず、父親まで自動車事故で亡くすという悲しい記憶をふり払うかのように都会を後にした。

 大西洋に面した港を見おろす丘の上に建つ屋敷を相続することになって、先祖が開拓した小さな海辺の町に引っ越してきたアディは、遺産の中に数えきれないほどの初版本や稀覯本があることを知り、書店を始めることにした。

 ところが開店早々、お隣のベーカリーとは仲たがいするわ、車にひかれそうになるわ、本は盗まれるわ……。おまけに近所でティーショップを営む友人セレナが殺人を疑われて逮捕されたとなれば、警察にまかせてなんて置けない!

 

 

 田舎町の小さな書店、しかもすべて遺産相続のおかげで初期投資もゼロという超甘やかし設定、とくればもう、コージーミステリーのデフォルトと言っていいくらいにベタな設定ですが、ここまでやるとむしろ潔いというか、ある意味ふっきれているかも。

 目新しさとか、ミステリーとしての出来がどうとかをほっぽりだして(笑)、田舎町特有の濃密な人間関係のドロドロや、風光明媚な港町ののんびりした暮らしぶりなんかを楽しめばよい、というシリーズがまたひとつ増えたと思いましょう。本作でデビューしたばかりですが、2作目も来年5月に、3作目は来年10月に発売予定が決まっているようです。

 

 

 

Shell Game: A V.I. Warshawski Novel (V.I. Warshawski Novels)

Shell Game: A V.I. Warshawski Novel (V.I. Warshawski Novels)

 

 

『Shell Game』 by Sara Paretsky

シリーズ名:V.I. Warshawski #19

カテゴリ:ミステリー

 

 古い友人の甥が殺人容疑で捕まり、彼を救いだすべくシカゴに帰ってきたヴィク。美術品の盗難が絡んだ事件には国際的な犯罪組織もかかわっているらしい。捜査をすすめるうち、ヴィクはロシアマフィアやISの支援者にまで突け狙われたり、証券取引詐欺や盗品売買にかかわる闇組織とわたりあうはめになったりする。

 だからといってヴィクの捜査手法が変わるわけではない。睡眠時間を削り、血を流すことになろうとも、正義を追求する姿はいつも通りのヴィクだ。

 

 

 みなさまご存じ、サラ・パレツキーのヴィク・ウォーショースキーもなんと19作目! まだ続いてたんですね(^ ^; 

 シリーズが始まったころ、作者、主人公、主な読者、翻訳者が全部女性(female)だということで「4F」なんてまとめ方をされたのはこのシリーズだけではなく、かなりの勢いもあったのですが、いつの間にか騒がれなくなってしまいました。やたらと女性を強調しすぎたのではないかと勘繰りたくもなります。とくに、読者に女性が多かったことをはやし立てたのはもったいなかったような。これだけ長く続いているのは男性読者もしっかりとついてきているからでしょう。

 ガラスの天井がまだまだ低かった80年代、肩ひじ張って男に負けまいと頑張る(頑張りすぎる)ヴィクが痛々しくて、いつの間にか読まなくなってしまったけれど、今のヴィクはどうしてるのかな、と旧友を訪ねるようにまた読んでみたくなりました。

 

 

 

 

The Black Khan: Book Two of the Khorasan Archives

The Black Khan: Book Two of the Khorasan Archives

 

 

 

『The Black Khan』 by Ausma Zehanat Khan

シリーズ名:The Khorasan Archives #2

カテゴリ:ファンタジー

 

 「片目の説教師」と呼ばれる謎の男が率いる“タリスマン”は、闇の力を使って強力な家父長制をしき、知識を抑圧し、女性たちを隷属させていた。これに反抗する女性たち“ハイラの同志”の先頭に立って戦うアリアンとシンニアの武器となるのは“クレイム”と呼ばれる言葉の魔法だ。クレイムの源であり、タリスマンが必死に消し去ろうとする『血痕の書』を探しだすため、ふたりはタリスマンの本拠地へと潜入したが失敗した。

 “ハイラの同志”は散り散りになってしまったが、アリアンとシンニアはあきらめていなかった。『血痕の書』のありかをつきとめたふたりは“黒き首長”ルークが君臨する亜種フォールへの潜入を試みる。

 

 

 作者のKhanは国際人権法の博士号を持ち、アメリカやカナダの大学で教壇に立っていたそう。その作風は、ヒューゴー賞を3連覇したN・K・ジェミシンと、ドラマも好評な『ゲーム・オブ・スローンズ』のジョージ・R・R・マーティンの中間とも評されているとか。

 KattakとGettyという二人の探偵を主人公にしたミステリーシリーズも人気で、テレビドラマ化の話もでています。〈Muslim Girl〉誌の元編集長として、ムスリムの視点から宗教対立をテーマに取り入れているというのが興味深いところ。ただし日本で受け入れられるかどうかは微妙でしょうか。

 4部作を予定している本シリーズがファンタジーでのデビューとなります。

 

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ ミステリー・推理へ
にほんブログ村

 

気になる新刊 ~2018年9月~

 

Royally Dead (A Stitch in Time Mystery)

Royally Dead (A Stitch in Time Mystery)

 

 

『Royally Dead』 by Greta McKennan

シリーズ名:A Stitch in Time Mystery #3

カテゴリ:コージーミステリ

 

 ウェディングドレスから歴史再現劇用の衣装まで、手の込んだ衣装の縫製を請け負うダリア・デンブロウスキーが針と糸で町を崩壊の危機から救う?

 ペンシルバニア州ローレルスプリングスで、イギリス伝統の〈ハイランドゲームズ〉をまねたイベントが開催されることになった。ルームメイトのアイリーンのバンド仲間に頼まれて、バグパイプコンテストの衣装を縫うことになったダリア。ところが参加した競技者のひとりがイベント中に突然死。死因は毒入りのウィスキー。警察はアイリーンを疑って……。

 

 時代衣装の細かな装飾などに興味のある方にもおすすめしたい、このシリーズ。舞台関係以外で需要はあるの? と思うような職業ですが、市民劇団みたいなものも盛んに活動しているし、再現劇(re-enactment)などは広大な原っぱで「南北戦争の〇〇の戦い」を大規模に再現する、なんてこともよくやるそうなので、そのための衣装づくりは1年を通して忙しそう。

 ページ数も少なめなので、軽く楽しめるシリーズです。

 

I Know You Know (English Edition)

I Know You Know (English Edition)

 

 

 

『I Know You Know』 by Gilly Macmillan

シリーズ名:ノンシリーズ

カテゴリ:サスペンスミステリ

 

 20年前、当時11才だった少年2人がドッグレース競技場の近くで死体となって見つかった。犯人は捕まり、有罪判決も下ったが、いくつかの疑問は残ったままだった。

 映画監督となったコーディ・スウィフトは、20年前の親友の死をいまでも引きずっている。新たな証拠を探しに故郷の町に戻った彼は、わかったことを動画を使ってリポートすることで、当時を知る人の話を掘りおこそうとした。だが過去の悲劇(と古傷)を思い出したくないと考える人も多く、なかでも亡くなった少年の母ジェスがひときわ反発した。

 そこへ、死体が遺棄されていた現場で新たに死体が見つかり、関連を調べるために警察が捜査を再開する。

 

 イギリスの作家ジリー・マクミランの作品はまだどれも邦訳が出ていないようですが、デビュー作『What She Knew(Jim Clemo #1)』は2016年のエドガー賞ペーパーバック・オリジナル賞にノミネートされたほか、国際スリラー作家協会賞新人賞でも最終候補に残った実力派。

 

What She Knew: The worldwide bestselling thriller (English Edition)

What She Knew: The worldwide bestselling thriller (English Edition)

 

 

 

 

 

In The Land Of The Penny Gnomes: A Realmian Adventure (The Realmian Adventures Book 1) (English Edition)

In The Land Of The Penny Gnomes: A Realmian Adventure (The Realmian Adventures Book 1) (English Edition)

 

 

『In the Land of the Penny Gnomes』 by Wesley T. Allen

シリーズ名:The Realmian Adventures #1

カテゴリ:ファンタジー

 

「おい坊や、起きろよ」

 そのひと声からウィルの冒険が始まった。床に開いたすき間を通りぬけてたどりついたのは〈レルム〉と呼ばれる見知らぬ世界。暴虐の限りを尽くす偽装弁護士軍団との戦いの真っただ中に放りこまれたウィルは、彼らの資格をはく奪し想像力を元の軌道に戻すことが自分の役割であると悟る。味方としてウィルを導くのは彼の頭の中にだけ聞こえる“応用想像力学”教授の声と、バグという名のペニーノーム(小妖精)のみ。

 

 米国バプテスト教会の牧師でコミュニケーション・コーディネーターという肩書も持っている作家のデビュー作。もしかしてYAまたは子供向けかも。

 

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ ミステリー・推理へ
にほんブログ村