つぎはコレ読みたい ~コージーミステリ三昧~

果てしない積読山脈をじりじりと登攀中。未訳作品中心に、自分が読みたい本、みんなに読んでほしい本を紹介しています。

気になる新刊 ~2017年11月(その1)~

 

A Late Frost (An Orchard Mystery)

A Late Frost (An Orchard Mystery)

 

 

『A Late Frost』 by Sheila Connolly

シリーズ名:Orchard Mystery #11

 

 マサチューセッツ州の静かな田舎町グランフォードは、冬になるとよりいっそう静かになってしまう。しかし、町に引っ越してきたばかりでなんとかとけこもうと奮闘するモニカ・ホイットマンの発案で、観光客を呼びこむべくウィンターフェアを開催することになり、果樹園を経営するメグも自慢のリンゴを出品することにした。

 ところが、イベント終了後にモニカが食中毒と思われた症状で死んでしまった。出品された食品を徹底的に調べてもあやしいものはなく、モニカは殺されたのではないかという疑いが持ちあがる。

 

 遺産相続で植民地時代風の大きな家とリンゴ農園を受けついだメグ・コーリーを主役にしたシリーズの11作目。2008年にスタートして以来、コンスタントに発表されているところからも、しっかりファンがついてきているようですね。毎回のレシピも楽しみです。

 

期待度:★★★★

 

 

 

Death in the Stacks (A Library Lover's Mystery)

Death in the Stacks (A Library Lover's Mystery)

 

 

『Death in the Stacks』 by Jenn McKinlay

シリーズ名:Library Lover’s Mystery #8

 

 ブライアクリーク図書館の館長リンジー・ノリスは、資金集めのための食事会の準備に忙しかった。それなのに、図書館委員会の委員長のほうはじゃまするのに忙しいという……。委員長のオリーブが、新たに職員になったばかりのポーラを侮辱するのを見たリンジーはオリーブを解任するが、食事会の後にオリーブが死んでいるのが見つかった。真っ先に疑われたポーラを信じたリンジーは真犯人を見つけようと奮闘する。

 

 ランダムハウスから出ていた〈カップケーキ探偵〉シリーズの作者による、図書館を舞台にしたこちらも順調に新作が続いているシリーズ。といっても、本に関する蘊蓄は少なめ。むしろ、図書館という場がたんに貸本屋ではなくその町のカルチャーの中心になっていることで、バラエティにとんだ事件につながっているかも。

 

期待度:★★★★

 

 

A Fatal Collection (A Keepsake Cove Mystery)

A Fatal Collection (A Keepsake Cove Mystery)

 

 

『A Fatal Collection』 by Mary Ellen Hughes

シリーズ名:Keepsake Cove Mystery #1

 

 長らく連絡をとりあっていなかった叔母のもとを訪ねたキャリー・リードだったが、これから溝を埋めていこうという矢先に、叔母が急死してしまう。叔母は経営するオルゴールショップで夜中に何をしていたのか? いたって健康で丈夫だった叔母が事故死とされたことに不信をいだいたキャリーは、オルゴールがヒントになることに気づく。

 叔母の店を買い取りたがっていた隣の店のオーナーの言動や、叔母が依頼するつもりでいた会計監査のことなど、調べるほどに叔母は殺されたとしか思えなくなってきて……。

 

 メリーランド州の海岸にある、土産店が立ち並ぶその名もキープセイク(思い出の品、記念の品という意味)・コーヴを舞台にしたシリーズがスタート。メインはこのオルゴールショップだけど、ほかにもいろんな〝コレクティブル″なお店が並んでいる街並み、って想像するだけで楽しそう。

 

期待度:★★★★

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気になる新刊 ~2017年10月(その2)~

 

Mrs. Jeffries and the Three Wise Women (A Victorian Mystery)

Mrs. Jeffries and the Three Wise Women (A Victorian Mystery)

 

 

『Mrs. Jeffries and the Three Wise Women』 by Emily Brightwell

シリーズ名:Mrs. Jeffries #36

カテゴリ:家政婦、ビクトリアン

 

 アッパー・エドモントンの住人たちにとってはホリデーシーズンもいろんな意味で忙しい。ガイ・フォークス・ナイトを祝うパーティー席上でほかのゲストたちを侮辱したクリストファー・ギラニーが、祭りの花火の騒ぎに紛れて撃ち殺された。はじめは強盗のしわざと思われたものの、難航する捜査の指揮をまかされたのが、ほかでもないウィザースプーン警部補だ。クリスマス休暇を台無しにしてはたいへん、と今回もみんなの力を合わせます。

 

東京創元社の〈家政婦は名探偵〉シリーズ、あちらではもう36冊目ですってよ!(笑)

ぜひとも翻訳のほうも次々と出していただきたいものです。テレビシリーズの『ダウントンアビー』や、〈貧乏お嬢さま〉シリーズとはまた違う階級の人たちの暮らしぶりも興味深い、楽しいシリーズですものね。

 

期待度:★★★

 

 

The Quiche and the Dead (A Pie Town Mystery)

The Quiche and the Dead (A Pie Town Mystery)

 

 

『The Quiche and the Dead』 by Kirsten Weiss

シリーズ名:Pie Town Mystery #1

カテゴリ:パイショップ、レシピ付き

 

 婚約者とともにカリフォルニアの小さな町で新たな人生を歩み始めるはずだったヴァレンタイン・ハリスだが、わずか5か月で婚約者は去ってしまった。それでも、少なくともパイショップを開くという夢だけは叶えたわけだが、ある日、店内でパイを食べた常連客が突然死! 死因が毒殺だというので疑われたヴァレンタインと助手のシャーリーンは……。

 

 Kirsten Weissはファンタジー~スピリチュアルよりのミステリーをたくさん書いている作家。でもこのシリーズはそういう超常現象的な要素はないみたいで、ごく普通のコージーっぽいです。

 主人公のヴァルことヴァレンタインはまだ若いようですが、パイ生地担当のシャーリーンはなんと70代! 親子というより孫娘とおばあちゃんみたいな二人がどんな探偵コンビになるのか、気になります!

 

期待度:★★★★

 

 

The Secret, Book & Scone Society

The Secret, Book & Scone Society

 

 

『The Secret, Book & Scone Society』 by Ellery Adams

シリーズ名:Secret, Book & Scone Society #1

カテゴリ:書店、リゾート地

 

 ミラクル・スプリングスに集まる観光客が求めているのは、天然温泉や五つ星レストラン、有名スパリゾートで疲れをいやすこと。もしもそのどれもがうまく効いてくれなかったら――〈ミラクル・ブックス〉へどうぞ。ベーカリー直送の特製スコーンといっしょに本の話をすれば、店主のノラがあなたにぴったりの本を勧めてくれます。

 ところが、そんな客のひとりが予約時間をまえに事故死をとげると、ノラは自助グループ〈秘密と本とスコーンと〉のメンバーに呼びかけ、真相解明にむかって動き出す。

 

『文学効能辞典』を地で行くような書店が舞台。〈秘密と本とスコーンと〉のメンバーはみんな、かつて心に傷を負い、それぞれの暗い秘密を分かち合った仲間たち。犯人捜しで協力するうちに信頼や自信を取り戻していく。失意と再生の物語でもあるようで、女同士の友情の危うさと心強さが味わえそう。

 町の名前も店の名前もミラクルとついているように、どうやらこのスコーンにはミラクルなトッピングがしてあるみたいですよ……。

 

期待度:★★★★

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気になる新刊 ~2017年10月(その1)~

 

The Witches' Tree: An Agatha Raisin Mystery (Agatha Raisin Mysteries)

The Witches' Tree: An Agatha Raisin Mystery (Agatha Raisin Mysteries)

 

 『The Witches’ Tree』 by M. C. Beaton

シリーズ名:Agatha Raisin Mystery #28

カテゴリ:

 コッツウォルズ住民は天候不順には慣れているとはいえ、着任まもない教区牧師夫妻がサンプトン・ハーコートでのディナーパーティーから帰る道はことのほか霧が深かった。目を凝らしながら運転していると、村はずれでいきなり目の前に現れたのは、節くれだった木の枝からぶら下がった死体! 独身老女が殺されて村中が騒然となる中、不謹慎にも心が浮き立つアガサ。しかし魔女集団がいるという村では情報も集まりにくく、アガサは身の危険を感じるように……。

 

翻訳も順調に9作目まできた人気シリーズ、アガサ・レーズンの28作目(!)。本国ではドラマ化もされていますが、日本ではまだみられないんでしょうか(涙)。

 

期待度:★★★★

 

 

Baker’s Deadly Dozen (A Fresh-Baked Mystery Book 13) (English Edition)

Baker’s Deadly Dozen (A Fresh-Baked Mystery Book 13) (English Edition)

 

『Baker’s Deadly Dozen』 by Livia J. Washburn

シリーズ名:Fresh-Baked Mystery #13

カテゴリ:料理、下宿屋、

 友人のかわりに代替教員を務めることになったリディアとサムは、学校という現場の変わりように目を丸くしつつ、懐かしさも感じていた。朝早く起きて学校に行き、生徒たちやほかの先生たちとかかわり、課外活動の手伝いをするのは楽しいが、まさか課外活動中に死体を発見するとは想定外だった。

 〈13日の金曜日〉ダンスパーティのさなかの事件で犯人と疑われたのは生徒のひとり。その少年に恋しているサムの孫娘はもちろん、フィリスもまた彼が犯人とは考えられない。

 

 ランダムハウスからヴィレッジブックスに移って続くかと思いきや翻訳がストップしている「お料理名人の事件簿」シリーズ。毎回おいしそうなお料理も満載なのに、売れないのかなぁ・・・(号泣)。

 

期待度:★★★★

 

 

Death Overdue: A Haunted Library Mystery

Death Overdue: A Haunted Library Mystery

 

 『Death Overdue』 by Allison Brook

シリーズ名:Haunted Library Mystery #1

カテゴリ:図書館、幽霊

 クローバーリッジなんて田舎町には見切りをつけたはずのキャリー・シングルトンが図書館で開かれるイベントの責任者に抜擢されて驚いたのは、そこに司書の幽霊がいたこと。しかも、最初に取り掛かることになったイベントというのが、引退した元殺人課刑事アル・バックレイが依頼してきたもので、15年前に殺された図書館臨時職員ローラ・フォスターの事件を洗いなおしてほしいというのだ。ところがそのバックレイも、イベント参加者の目のまえで毒殺されてしまう。責任を感じて過去の事件を探りだすキャリーの味方は、なんでも知ってる司書の幽霊だ。

 

 殺人事件の捜査に幽霊がかかわってくる話は、どうしてもズルしてるみたいでミステリとしてどうかと思ってはいるのだけど、コージーに登場する幽霊はたいていフレンドリーでユーモラスに描かれるから、翻訳されるチャンスもあるかな? 図書館という設定も本好きならいろんな「あるある」を楽しめるのではないかと期待してます。

 

期待度:★★★

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気になる新刊 ~2017年9月(その2)~

 

Turkey Trot Murder (A Lucy Stone Mystery)

Turkey Trot Murder (A Lucy Stone Mystery)

 

 『Turkey Trot Murder』 by Leslie Meier

シリーズ名:Lucy Stone Mystery #24

カテゴリ:新聞記者、感謝祭、

 一段と冷え込んできたティンカーズコーヴ。今年は静かな感謝祭になると思っていたルーシーだが、池で死体が見つかったとあってはそうもいかず。被害者は裕福な投資家の娘で、麻薬中毒にも苦しんでいたアリソン・フランクリン。警察は過剰摂取による事故と判断するも、ルーシーは葬儀の場で父親の後妻に不信感を覚える。

 

 東京創元社からでているルーシー・ストーン・シリーズ、翻訳は10作で止まってしまっているようですが、本国では早くも24作目、まだまだ人気が衰える様子はありません。今回は人種差別や移民問題などにも踏み込み、コージーながらいま現在の社会の問題を絡めてきているようです。ホリデーシーズンの設定にしては重めかも。

 

期待度:★★★

  

 『A Treasure to Die For』 by Terry Ambrose

シリーズ名:Seaside Cove Bed & Breakfast Mystery #1

カテゴリ:中編、B&B

 16世紀に沈没したガリオン船の積まれていたはずのお宝目当てにやってきた8人組。カリフォルニアの海に面した小さな町シーサイドコーヴの人たちは相手にもしていなかったが、そのうちの一人が殺されると、彼らが泊まっていたB&Bのオーナーであるリック・アトウッドもあせらずにはいられない。首を突っこんでくる10歳の娘はお荷物なのか、それとも意外なブレーンになるのか?

 

 コージーには珍しい男性作家テリー・アンブローズは、これまでにコージー以外のミステリー作品を多数発表しています。本作品の主人公となるのはこれも珍しい父子家庭。表紙に描かれたB&Bの室内がなんとも心地よさそう。

 

期待度:★★★

 

 

 『Mousse Moscato & Murder』 by Jamie Lee Scott

シリーズ名:Food & Wine Mystery #3

カテゴリ:ワイン&料理、ワイナリー、

 ウィラ・フライデーは毎日、仕事の前に町のベーカリーでコーヒーとカップケーキを楽しむことにしている。このところ、その同じ時間、同じ席に座っている男性がいるのに気づいていた。ところが、いつも彼の接客をしていたベッカが店の裏にある駐車場で殺されているのが見つかり……。

 

 フード・ブロガーのウィラを主人公にしたシリーズ3作目。1作目ではブログで収益が出るようになってアシスタントを雇い、2作目では大学生になって家を離れた娘のかわりにそのアシスタントがようやく“使える”ようになり、3作目になってもまだまだ半人前扱い、ってどれだけ世話の焼けるやつなんだと思わなくもないけれど。

 そのブログに載せているレシピとともに、ワインとの組み合わせなどのうんちくも楽しそう。

 

期待度:★★★★

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気になる新刊 ~2017年9月(その1)~

 さて、ちょっと出遅れましたが今月も気になる新刊がたくさん出ますよ。

 『Cherry Filled Charges』 by Jessica Beck

シリーズ名:Donut Shop Mystery #33

 

 町に期間限定でビストロがオープンすることが決まったというのに、料理学校時代からのシェフのライバルがステージで殺されているのが見つかった! もちろん見つけたのはスザンヌだけど、頼みのジェイクは家族の一大事で町を離れているとあって、盟友グレースとともに犯人探しに出動!

 

 コージーブックスでもおなじみ、〈ドーナツ事件簿〉シリーズがもう33作目! 翻訳はまだ5作目までですが、続きもどんどん出してほしいシリーズですよね。

 あちらの読者の中にはさすがに飽きてきたらしいコメントも見受けられますが、これだけ長く続いていながら★平均4.39ってスゴイことですよ。

 

期待度:★★★★★

 

A Deadly Fundraiser (Talk Radio Mysteries Book 4) (English Edition)

A Deadly Fundraiser (Talk Radio Mysteries Book 4) (English Edition)

 

『Deadly Fundraiser』 by Mary Kennedy

シリーズ名:Talk Radio Mystery #4

 

 フロリダの地元ラジオ局でトークショーの司会を務める精神分析医マギー・ウォルシュ。アートセンターでの資金集めのイベントに参加することになり、ラジオ局の仲間たちと宝探しを楽しんでいたのに、見つかったのは今を時めく建築家の死体!

 

 シリーズのこれまでの作品とは違ってちょっと短め111ページの中編。このシリーズでは主人公が元精神科医なので、犯人の心理を探っていくところが面白いのと、マギーの母親で元女優のローラがかつて経験した役のために身に着けたさまざまな知識でバックアップしてくれるのが読みどころ。

 

期待度:★★★

 

Deadly Brew (Dewberry Farm Mysteries Book 3) (English Edition)

Deadly Brew (Dewberry Farm Mysteries Book 3) (English Edition)

 

『Deadly Brew』 by Karen MacInerney

シリーズ名:Dewberry Farm Mystery #3

 

 ハロウィンが間近にせまったテキサス州バターカップで、元リポーターにして今は農業に専念しているルーシー・レズニックはヤギと牛の群れに囲まれていた。おまけに最近農場に移築してきたばかりの古い家屋には幽霊が出るらしい――しかもそれがものすごく騒々しいといううわさが。さらにタロット占いで死が予言されると、大牧場のオーナーが死体で見つかる。

 

 かつてランダムハウスから出ていた〈朝食のおいしいB&B〉シリーズの作者、カレン・マキナニーの別シリーズ。〈朝食のおいしい~〉も現在7作目まで出ているのでぜひ続きを読みたいところですが、どこか引き取ってくれないかなぁ。。。

 さてこちらのシリーズでは主人公ルーシーが元リポーターだけに、あちこちつつきまわして情報をほじくりだすのはお手のもの! その手腕を発揮してくれるあたりが楽しみです。本作品には幽霊話がでてますが、ホーンテッドものではなさそう。

 

期待度:★★★★

 

 

Death Distilled: A Whisky Business Mystery

Death Distilled: A Whisky Business Mystery

 

 『Death Distilled』 by Melinda Mullet

シリーズ名:Whisky Business Mystery #2

 

 ウィスキー醸造所を相続してから3か月。アビゲイル(アビ)・ローガンは、若いころの憧れの人で地元では有名なロックバンドのリーダーだったローリーに頼まれ、彼を殺そうとしているのは誰かを探ることに。バンドのドラマーが不審死を遂げ、キーボード担当がひき逃げされて昏睡状態におちいると、ローリーは次こそ自分だと震えあがる。バンドメンバーたちがこれまでに起こしてきたトラブルを考えると容疑者リストは長くなるばかり……。

 

 調査報道を得意とするフォトジャーナリストとして賞を取ったこともあるアビゲイル。伯父から相続した醸造所をつづけるためにスコットランドのハイランド地方に帰ってきたのはいいけれど、あまり歓迎されていなかったみたい。調査能力とシャッターチャンスをとらえるセンスのよさは事件解決にどう活かされるのか? 

 

期待度:★★★

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気になる新刊 ~2017年8月(その2)~

 

Chime and Punishment (A Clock Shop Mystery)

Chime and Punishment (A Clock Shop Mystery)

 

 

『Chime and Punishment』 by Julianne Holmes

 シリーズ名:Clock Shop Mystery #3

カテゴリ:時計職人、

 

 数年前、風光明媚な小さな村オーチャードの静けさを打ち破って、皆に愛された時計塔が焼け落ちた。祖父から相続した時計店〈コグ&スプロケット〉を経営するルース・クラガンは、その時計塔を修復するという夢も受け継いでいた。ところが、資金集めのイベントで、町政担当者のキム・グレイが塔の鐘の下敷きになって死んでしまったために、町は騒然となる。何かというとルースの邪魔をしてくるキムのことは大嫌いだったが、身近な人や親しい人たちが容疑者になったのではじっとしてはいられない。

 

 歯車がいくつも組み合わさって時を刻む時計のしくみは、代表的な精密機械のひとつに違いない。時計を分解してそのしくみにほれぼれしたあと、もとに戻せなくなったなんて話を、昔はよく耳にしたものだ。弟たちがそうやって分解した時計をもとに戻してあげる役割だったという話を父からさんざん聞かされてきたが、機械に強い父はわたしの自慢だった。

 

 時計職人というと、わたしの中でちょっと前まではおじいさんのイメージがあったけど、今どきはどうなんだろう。1周まわってアナログなものの価値を残したい若い世代にはきっと女性もいるはずよね。本シリーズの主人公ルースもその一人だ。

 

 シリーズ3作目にしてようやく時計塔の修理にとりかかれるかと思った矢先の事件とあって、前途多難は避けられないもよう。ちなみに町政担当者というのは、選挙で町長を選ぶかわりに、(こちらは公選の)町議会が任命する町政の責任者だそう。

 

期待度:★★★

 

 

Macramé Murder (A Cora Crafts Mystery)

Macramé Murder (A Cora Crafts Mystery)

 

 

『Macrame Murder』 by Mollie Cox Bryan

 シリーズ名:Cora Crafts Mystery #3

 カテゴリ:ハンドクラフト、リゾート地、

 

 元カウンセラーでブロガーのコーラ・シュバリエが30代半ばにして人生をやり直すために選んだのは、ハンドクラフトの講習会ビジネスだった。

 今回はビーチの近くで貝殻のモザイクやシーグラスを使った飾り物などのクラスを開くことになったコーラ。ボーイフレンドと散歩していたときに出会った新婚さんもすてきな人たちで、すっかりビーチに魅せられたのもつかの間、翌日にはその新婦が死体で見つかってしまう。最初はクラゲに刺されたのが原因と思われたものの、ボーイフレンドのエイドリアンが殺したと疑われてしまい、またまた捜査に首を突っ込むことになるコーラ。

 

 マクラメ編みはご存知? 色とりどりの紐を編んだり結んだりして、アクセサリーやインテリア雑貨を作る手芸のひとつ。ナチュラルな雰囲気があって、カジュアルテイストな作品は見ているだけでも癒されます。手の込んだ編み目を見ると難しそうではありますが・・・。

 

 たまたまですが、8月(その1)で紹介したA Tangled Yarnと同じく、リトリートという合宿形式のワークショップを舞台にしたシリーズ。流行りなのかしら。

 

期待度:★★★

 

 

 

 『Smoothie Bowl Murder』 by Anna Lakewood

 シリーズ名:Harmony Café Mystery #2

カテゴリ:中編、カフェ、

 

 〈ハーモニー・カフェ〉のオーナー、オータム・ウッドは、姉を失業の危機から救うため、姉の代わりにホテル勤務のシフトに入ることになったが、まさかシワだらけのシーツや汚れた朝食トレイのほかに死体まで目にすることになるとは想像もしていなかった。ちょうど町では狩猟用弓矢の見本市が開かれていて、動物愛護団体がデモ行進をしにきているタイミングも重なり、容疑者リストは長くなるばかり。

 

 のんびりムードのサスペンスレスな(?)コージーミステリ。レシピ付き。100ページ余りで110円(kindle版、8/24現在)とお手頃なので、英語で小説を読むことになれていなくても手に取りやすいのでは? 

 

期待度:★★★

 

 

 

『High Stakes and Hazelnut Cupcakes in Las Vegas』 by A.R. Winters

 シリーズ名:Tiffany Black Mystery #10

カテゴリ:中編、カジノ、

 

 企業のCEOにして看護士、ハウスキーパーの顔ももつエイプリル・ウィルキンスが状況がどうみてもアヤシイとにらんで調べ始めたティファニーだが、嘘と大金が飛びかう裏世界をのぞきみてしまったおかげで命をねらわれるはめに……。

 

カジノのディーラー、ティファニー・ブラックが主人公の人気シリーズは早くも10作目。ティファニーの気持ちにおかまいなしに自分好みの男性をつれてきてはくっつけようとする母親をはじめ、個性的でゆかいな脇役たちがたくさんいるようで、ミステリとしては弱くてもコージーらしさを楽しめそうです。

 

 

期待度:★★★★

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気になる新刊 ~2017年8月(その1)~

今月前半は、大好きなネコが出てくる新シリーズと、日本でもすでにおなじみのシリーズ新刊がありますよ~。

 

Cat About Town: A Cat Cafe Mystery

Cat About Town: A Cat Cafe Mystery

 

 

『Cat About Town』 by Cate Conte

シリーズ名:Cat Café Mystery #1

カテゴリ:カフェ、猫、マサチューセッツ州

 

 マサチューセッツの沖合に浮かぶデイブレイク島に帰ってきたマディ・ジェイムズは、商売を――そしてあわよくば恋も――始めようと、意気込んでいた。ひょんなことから茶トラの野良猫を飼うことになったマディは、猫カフェを始めようと思い立つ。しかし、毛むくじゃらの新しい仲間が町の鼻つまみ者の死体を見つけたせいで悲惨な目にあうとは、予想もしていなかった。町じゅうの注目を集めるマディ(この猫飼い女はなにもの?)。ペットの毛の管理と事件の推理さえなければ、いまごろは彼氏候補のひとりやふたりは登場して彼女の関心を買おうとしていたはずなのに……。殺人犯がそのへんをうろついていたんじゃ、「ふたりは幸せにくらしましたとさ」なんて夢を見るわけにもいかないじゃないの!

 

 サンフランシスコでジュース・バーを営むマディが祖母の葬儀のために帰郷してみたら、祖父の借金のために家族が長年暮らしてきた家を手放さなくてはならないかもしれないことが判明。ところが借金の取り立てをしていたフランク・オマリーが殺され、最後にいっしょにいるところを見られたマディが疑われ……。

 借金があるというとダメ親父っぽく聞こえるけど、祖父のレオは地元の警察署長だったらしく、孫娘マディとの仲もいいそうなので、この2人のやりとりは面白そう。

 作者のCate Conteは、Pawsitively Organicシリーズを書いているLiz Mugaveroのペンネーム。

 

期待度:★★★★★

 

 

On Her Majesty's Frightfully Secret Service (A Royal Spyness Mystery)

On Her Majesty's Frightfully Secret Service (A Royal Spyness Mystery)

 

 

『On Her Majesty’s Frightfully Secret Service』 by Rhys Bowen

 

シリーズ名:Her Royal Spyness #11

カテゴリ:英国王妃の事件ファイル、貧乏お嬢さま

 

 出産をひかえてイタリアに滞在している親友のベリンダから手紙をもらったジョージ―。駆けつけたいと思っていたところへ渡りに船。パーティに招待されたイタリアで皇太子がこっそり結婚してしまうのを阻止せよという密命を王妃さまからうけて出向いたはいいけれど、ベリンダのことは秘密にしておかなければならないのが苦しいところ。ダーシーはいつものように極秘で行動中だし、ジョージ―の母も乱入(?)してくるし……。

 

 翻訳も順調に出ている人気シリーズ(翻訳はコージーブックスから7作目まで発売中)、はやくも11作目。今回は潜入(?)したパーティで出席者たちがそれぞれに何やら企んでいるようす。そこで招待客の一人が殺され、ジョージ―の母が容疑者となれば……。

 

期待度:★★★

 

A Tangled Yarn (A Yarn Retreat Mystery)

A Tangled Yarn (A Yarn Retreat Mystery)

 

 

『A Tangled Yarn』 by Betty Hechtman

 

シリーズ名:Yarn Retreat Mystery #5

カテゴリ:編み物、海辺のリゾート地、

 

 リゾート地にある高級ホテルで開かれるヤーン・リトリートの主催者として忙しい日々を送るケイシーだが、今回の目玉企画である指編みには興味が薄い参加者のために別の企画まで考えるはめに。そこへ追い打ちをかけるように、別のグループに参加していたトラベルライターがホテルの部屋で殺されているのが見つかり、ホテルオーナから助けを求められたケイシーは……。

 

 主人公のケイシーが運営しているヤーン・リトリートとは、宿泊をともなった編み物のワークショップのこと。サンフランシスコから南に2時間、モントレー半島というリゾート地を舞台に、編み物三昧の週末を楽しむイベントといったところ。

 この仕事は亡くなった伯母から引き継いだものだが、もともとケイシーはお菓子職人なので、ニットの編み方のほかにレシピもついているという欲張りなシリーズ。

 

期待度:★★★★

 

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